見出し画像

母の日

結婚する気も母になる気もなかった20歳の頃の私が見たら、今の自分にきっとびっくりすることだろう。

たまたま縁があって、10年以上親子をやっている。確かに自分で産んで育てているが、「最も近くにいる他人」と思って接している。先に生まれた先輩として、見聞きしてきたことを伝えるだけ。あとはあたたかいご飯と清潔な寝床を用意するぐらい。

最も近くにいる他人として、色々相手のことを案じているが、別の人間なのでできることは少ない。

事故や事件や病気がない限り、私の方が息子より先に逝く。いつも心配するのは、彼が一人残された時に、自分で味方を作ることができるかだ。だからどうしても口うるさくなる。

うそをついてはいけない。次もうそをつくと思われるから。ただ、大事なものを守るためだったり、相手をがっかりさせないためのうそは、まあ大目に見ます。
約束を守ること。時間に関しての約束は、守れないとわかったらすぐに連絡すること。君の無事を確認したいし、空いた時間で別の予定を済ませたいから。
学ぶことは一生ついてまわるので、早く身につけると楽だ。母ちゃんが取った資格の大半は社会人になってから。試験合格は通過点。その後が楽しい。
迷ったら、好きな方を選ぶ。そのためにも読書量と実体験は多い方がいい。アタリの付け方がずいぶんちがうから。
迷う時間と物を探す時間はもったいない。決めたらやればいいし、物を使ったらもとに戻せばいい。
好きなことが見つからないなら、どうしても嫌なことを書き出そう。嫌なことから逃れるための勉強や戦いもOKOK
自分の正しさを押し付けてもうまく行かない。相手にとって「面白いか」「利益があるか」のどちらかを考えて提案したり説得してみよう。
せっかくあらゆる食べ物の命をいただいたり、いろんな人の時間をもらいながら生きているのだから、なにかできるといいね。でも、自分を卑下して耐えるような生き方はしなくていいんだよ。謙虚であった方がいいけれど、他人からないがしろにされていいような存在ではないから。自信を持つといい。ただし、傲慢にはならないように。この辺の塩梅が難しいねえ。私も未だによくわからない時がある。
家事も仕事と同じで、目的がある。家事は快適に暮らすことが目的。だから、母ちゃんから言われたからやるとか、汚れが落ちていないのに「掃除した事実」だけを主張しても意味がない。快適に暮らすことが目的だから、母ちゃんを早めに説得して、家事を分担してしまうのも方法の一つなんだよ。例えば「一緒におやつを食べたいから、これかこれやってほしい」とかね。一緒におやつ食べる方が快適なんだからさ。

さて、他にも伝えたいけれど、いつまで私の話を聞いてもらえるだろうか。

いつか来る子どもの反抗期を楽しみにしながら、そして自分の反抗期を思い出してちょっとバツの悪い思いをしながら、今日はカーネーションを眺める。