なおコ@汐留座

文藝部で出した作品を転載してみたり。

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    日常のことを綴ったエッセイです。 所属している文藝部「汐留座」での発表作品が主になる予定。

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    一次創作小説です。 所属している文藝部「汐留座」での発表作品が主になる予定。

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生きるのって簡単じゃない―エルフと柴犬の交点―

 冬の夜ごはんはいい、困ったら鍋にすればいいから。  と思っている人は多いと思う。私も思っている。温かくて肉も魚も野菜も摂取できて、洗い物も多くならない、すばらしい食べ物。  最近は、注ぐだけの鍋つゆも豊富に揃っているし、具材も一回分がパックに収まったものがスーパーに並んでいる。鍋つゆ一袋と具材セット一つを買ってきて放り込めばいいだけとは、何て簡単なんだろう。  今日は土曜日、午前中から行きたかった美術展に出向き、寒さに負けて早めに戻ってきて自宅最寄り駅に着いたのが午後四時過

    • 彼女の涙

       吉田静香は同期の中でも頭ひとつ抜きん出た存在だった。出身大学の偏差値だけでなく、新人研修のチーム課題での対応ぶりや、修了レポートの出来を見てもそれは誰の目にも明らかだった。花形の広報部に配属されたのも納得だ。私はと言えば、人より前に出るなんて苦手中の苦手、代わりにちまちまと細かなサポート的業務には適性があるとみなされ、業務推進部への所属が決まった。 「花笑(はなえ)さんは謙虚っていうか、後ろに後ろに下がっちゃう性格なだけで、優秀だと思うよ」  苗字が同じなため、私たちは社内

      • まだ旅の途中

         目が覚めて、まずスマホをチェックする。企業アカウントからの通知や天気予報アプリ以外のアイコンは表示されていず、画面をオフにしてベッドから身を起こした。  顔を洗って着替え、窓の外を見ると、今日はずいぶん天気が良さそうだ。仕事用のパソコンを立ち上げ、至急の対応が必要な要件がないことを確認して、少し散歩することにした。  日焼け止めだけ塗って外に出ると、思った通り、からっと乾いた天気にややひんやりとした風の上天気。徒歩十分程度のところにある港へ向かうことにする。開店準備に音を立

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