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さすが漢字の国

お店で中国茶の品茶会を開催していた時は、いろんな中国の文化の話も知ることができました。

日本でも、映画「レッドクリフ」が公開された頃に開催された品茶会では、映画の題材になっている三国志の中でもハイライトな「赤壁の戦い」について、中国国内に伝わっている逸話を紹介してくださいました。

赤壁の戦いとは、中国後漢末期の208年、長江の赤壁において起こった曹操軍と孫権・劉備連合軍の間の戦いのことです。

状況としては、孫権の呉の軍に、劉備の軍師である諸葛亮孔明が単身乗り込み、水軍同士の戦いの軍議に加わっているのですが、呉の軍師である周瑜は孔明のことを疎ましく思っていて、共闘といいながらも、周瑜の内心は穏やかではない、という状態です。

中国では、ある漢字に「偏(へん)」「旁(つくり)」「冠(かんむり)」などを付けて、意味の違う漢字にする、という遊びがあるのだそうです。

逸話では、
日頃から、飄々としている孔明を疎ましく思っていて、なんとか激怒させて、それを言い掛かりに、孔明を呉の軍議から外そうと画策していた周瑜が、孔明と「漢字遊び」をしていた時のこと。
周瑜がいろいろ焚きつけるものの孔明は一向に乗ってこない。
のですが、ある漢字に偏を付けて
「孔明さん、あなたの奥さんは、それはそれは醜女(しこめ)なんですってね?」
としたところ、これには孔明が激怒して、そこからは漢字遊びとはいえ、一触即発な状態で、周瑜と孔明の漢字遊びのやり取りが繰り広げられたそうです。

このままでは、呉と劉備軍との間が不仲になってしまう。
それこそ、呉と劉備軍が仲違いで済めばいいが、戦になってしまっては呉としてもまずい!

と、危機感を募らせたその場に居合わせた呉の将軍が、二人の漢字遊びに割って入ります。
将軍は先に「」の字を書いて、その字に米偏を付け足しました。
「曹」が「糟」になることで
「そんなにお互いにいがみ合っていると、操に糠(さけかすやこめぬか)みたいな状態にされてしまいますぞ(精気を吸い取られた状態にされますぞ→やられてしまいますぞ)」と窘めました。

この漢字を見るなり、孔明、周瑜ともに我に返ったそうです。

歴史ものには正史以外にも俗説などがありますから、これは中国国内で伝わっているもので、正史ではないかもしれないそうですが、このエピソードは面白くて大好きな話です。

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