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読書記録: [ウィトゲンシュタインの愛人]デイヴィッド・マークソン

地球上でたった一人生き残った主人公が、浮かび上がる記憶や知識を素材に、世界を・自分を、認識しようと(しなおそうと)する。 

主人公の頭の中、あるいは身近な事についての記述ばかりが続くが、時おり、そもそも主人公はその手記の読み手がもはやどこにもいない世界に住んでいること、また、ならば主人公は誰に向けて書いているのか、という点に思いが至り、頭の中の焦点が大きく移動するような、クラっとするような感覚を覚える。

(文末を「〜けれども。」で終えているのが多く、気になった。原文がそういう意図で書かれているのだろうか。)

ダリのような、派手なマグリットのようなカバー画と、ポップアートのような装丁がまたいい。

小さいことだが、本棚に並べ直して気がついたが、背表紙のタイトルが「ウィトゲンシュタインの」で折り返している。理由は色々考えられるけど、「秩序を逸脱している感」があって、イイ。

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