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#006 『手芸男子』

ミシンを手に入れた私は、まさに水を得た魚だった。日本橋のTRAILSに通い詰め、ファブリックやパーツ類を買って帰り、家での作品作りに没頭した。巾着型ポーチ、ファスナー型ポーチ、サコッシュ、トートバッグ、ショルダーバッグ等、毎週の土日に2つずつというハイペースで創作活動を展開していった。

最初は見よう見まねで作った。外側から内部の構造をイメージして、布を切り出したり縫い合わせたりしていた。答えが分からないバッグの構造を紐といていく感覚は、3Dパズルのようで楽しかった。

タイベックでサイズ感や使い勝手などを確認しながら試作している図。

段々と複雑な構造のものが作れるようになってきて、“バッグ作りの教科書”的な本も何冊か購入して勉強した。キャンプを始めたときもそうだったが、ここでも分かりやすいのはYoutubeで、皆さん丁寧に動画でバッグの作り方を指南してくださっている。中にはサンプル師さん(初めにバッグの型紙や作り方を考えるプロ中のプロ)のチャンネルなどもあり、たいへん勉強になった。

毎回、異なる形や構造を考えてそれが形になっていく過程が楽しくて、
毎週末に2個のペースで製作していた。

そのうち、裁縫道具やミシンのパーツ類が次から次に必要となってきて、蒲田のユザワヤ、新宿のオカダヤ、日暮里のTOMATO、という東京の3強手芸店(だと私は思っている)にも通い出した。

最初は必要なものを目指して手芸店に行くから、周りの目があまり気になっていなかったのかも知れない。しかし、何度か通いながら自分にも客観的な視点が戻ってくると、手芸が趣味だと思われる品の良いマダムや、美大学生らしき若い女子の多い店内において、生地やパーツを熱心に探す中年男性(私のことだ)は少し異質な気がした。

myogというこだわりのあるカッコいい趣味を始めたつもりが、側から見るとただの手芸男子で、myogとはつまり手芸(それと工作)のことなんだと思った。

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