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#009 『ミシンによる達成感』

出来・不出来は横に置いておいたとしても、一つ一つ自分の作品が出来上がっていくことに達成感を感じたし、何よりミシンを踏んでいる時間は楽しかった。

仕事場に入る前と出た後で意識的にスイッチを切り替えるようにして、仕事の時間はそこに集中していたが、通勤途中の道や電車の中では人々が持つバッグにばかり目がいってしまった。

バッグの持ち手、ポケットの形状、ファスナーの留め方、配色、そのどれもが勉強になった。街では、バッグを持っていない人を探す方が難しいくらい誰もが持っているものだし、そして1日に同じバッグを見かけることはほとんどないくらい多種多様な選択肢があるのだと思った。

だんだん種類が増えるファブリックを名刺サイズにカットして管理を始める。

どんどん新しい作り方や、構造にチャレンジしたが、不思議なもので自分が作るものにはある種の共通項が出るというか、好みなのか先入観なのか、似たような性質を埋め込みたくなるのだと気づいた。

要するに、だんだんと自分が作るバッグが、自分らしさをまとい始めた気がした。

それも当然といえば当然で、素材はある程度限定されたアウトドアファブリックだし、参考にしているのは自分の好きなブランドや世界観である。クオリティが高いとか低いとかは横に置いておいたとしても、自分の好きな世界観を形にすることができて、どんどん深堀り出来る。こんなに楽しいことはなかなかないと思った。(まー、趣味ってそういうものですよね。)

素材使いの統一感も手伝って、どことなくシリーズ感のある作品たち。

そのうち、ガレージブランドの先輩達の発信に、自分のモノ作りを重ね合わせていることに気付いた。これくらいなら自分も作れそうだなとか、これはまだ自分のスキルでは難しそうだなとか。

もし、自分が作ったものを買ってくれる人がいて、それで生活が成り立ったら最高だなと思った。だんだんと自分のブランドが作りたいとか、そんなことを漠然と考え始めるようになっていた。

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