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【音楽関連書寸評】「イエスが愛した聖女 マグダラのマリア」(マービン・マイヤー、エスター・A・デ・ブール著 藤井留美、村田綾子訳 日経ナショナル・ジオグラフィック社)
あるとき、急に気になった。 マグダラのマリアって何者だ? 聖母マリアとは違う。 バッハの「マタイ受難曲」「ヨハネ受難曲」では、イエスが十字架にかけられる場面、そして墓の場面まで付き従った女性たちの一人として登場する。ユダの裏切りの場面の前に、イエスに香油をかける女性もマグダラのマリアとされている。 ロイヤル・バレエで最晩年のケネス・マクミランが振付した性的暴力の描写がショッキングな作品「ユダの木」では、嫉妬と悪のきっかけとして一人の美しい女性の存在にマグダラのマリアが含意さ
【音楽書寸評】「コルトー=ティボー=カザルス・トリオ 二十世紀の音楽遺産」(フランソワ・アンセルミニ+レミ・ジャコブ著 桑原威夫訳 春秋社)
音楽書をいかに応援するか? ボランティア的に自分がやれることがあるとすれば、このような場で、少しずつでも着々とレビューを書いていくことだろう。 OTTAVAでの自分の番組では、もう10年くらいは毎週ノンジャンルで音楽に関連するものを中心に「本の紹介コーナー」を続けている。そこで扱った本をここでもう一度紹介しておくのも良いかもしれない。 必ずしも新刊とは限らない。 三日坊主にならないように、ゆるゆると。 室内楽の歴史において燦然たる輝きを放つピアノ三重奏団についての伝記本。刊