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整備新幹線と地方JR線の切り捨て:光の裏側にある影

2024年3月16日、北陸新幹線が金沢から福井・敦賀へと延伸開業する。北陸地方の悲願であった新幹線開通は、地域活性化の起爆剤となるのか、それとも新たな問題を生み出すのか。

しかし、その華やかな影で、静かに進行しているのが、並行在来線の切り捨てである。北陸本線では、金沢~大聖寺間がIRいしかわ鉄道、大聖寺~敦賀間がハピラインふくいという第三セクター鉄道に移管され、JR西日本の路線から姿を消す(JR貨物の貨物列車は存続)。

これは、決して北陸本線だけの問題ではない。全国各地で、整備新幹線の延伸に伴い、並行在来線の切り捨てが進んでいるのだ。

なぜ、整備新幹線と並行在来線の切り捨てがセットで行われるのか?

その理由は、一言で言えば、「整備新幹線自体がJRが地方の在来線を切り捨てる方便になっているから」である。

整備新幹線は、建設費用が莫大で、コストが馬鹿にならない。公からの補助金で建設しているものの、巨額の借金を背負っており、JRにとっては大きな負担となっている。

一方、並行在来線は、利用者が少なく、赤字路線である場合が多い。新幹線が開業すると、さらに利用者が減り、赤字が拡大する。

そこで、JRは、並行在来線を切り捨てることで、経営悪化を防ごうとしているのだ。

第三セクター鉄道への移管は、本当に解決策なのか?

しかし、第三セクター鉄道への移管は、必ずしも解決策とはならない。

第三セクター鉄道は、JRよりも経営基盤が弱いため、さらに赤字が拡大する可能性が高い。

そうなると、自治体への負担が大きくなり、地域住民の生活にも影響が出てくる。

整備新幹線の本質を見極めよう

整備新幹線は、地方活性化の手段として推進されているが、その裏側には、JRによる地方路線切り捨てという大きな課題がある。

そして、その課題を解決するために、西九州新幹線の並行在来線では設備や使用車両の格下げによるJR普通列車の存続が行われたというケースもある。

整備新幹線は、本当に地方活性化に貢献するのか、それとも地方の鉄道網を破壊するのか。

私たちは、その本質を見極め、しっかりと議論していく必要がある。

北陸新幹線の延伸開業を機に、整備新幹線と地方JR在来線のあり方を改めて考えたい。

※この記事は、筆者個人の見解に基づいて書かれています。

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