バランス感覚が重視されまくるこれからの企業経営とは。

今回は共感とミーイズム、価値観のアップデートについて書いてみました。

共感とミーイズム

現代の若者をリアルまたはweb上で見ていて思うのは、「ミーイズム」の極致に達しているということです。

こちらは韓国のニュース。現在出生率が1.00を大きく下回っている韓国。このままでは国家消滅とも言われるくらいの深刻な状況ですが、その背景には「賃金の低さ」「塾ぐるぐる」「ミーイズム」などのワードが見てとれます。韓国は最低賃金も高くなく就職も難しい。若者たちはこんな状態で結婚しても幸せになれるかどうか分からないと不安になり、ましてや子供を持つなんてとんでもないと思い始める。その結果がペットを飼うという言わば刹那的な幸せの享受を求めるわけです。

かたや「塾ぐるぐる」と呼ばれ就職も難しい中、少しでもその競争に打ち勝つために子供たちはたくさんの塾を掛け持ちする。その背景には親の大きな経済負担が見え、それだけのコストを掛けても競争に勝ち抜けるかどうかはわからない。これでは若者が不安になるのも無理がありません。経済コストも努力も報われない可能性が高いのですから。

その結果、それなら他人のことを考えるよりまず自分の幸せを一番に考えようという「ミーイズム」になるのも無理からぬところです。

嫌ならば見なければいい、というミーイズムと公共の電波

Instagramなどでは、他人に見せることよりも自分が楽しいと思う動画のほうが多く散見されます。その中にはわたしたちの年代(40代昭和生まれです)から見れば正直何が面白いのかわからなかったり、これは他人が不快になるだろうと容易に想像できる動画もあります。
わたしはもちろん見ているだけですが、中には同年代と思われるような、もしくは昭和のモラル感を持った人からの苦言コメントもちらほらとあります。そうするとそれに対する反論コメントは決まって「イヤならば見なければいい」というもの。そして、自分の好きなものに対する非難があれば力の限り罵倒する。まあ非難するほうも非難するほうなんですが。
あまり良い書き方には見えないかもしれませんが頭から非難しているわけではなく、これが現代の思考なんだと思います。

社会に順応していた昭和生まれと、多様性を貫く平成後期生まれ


つまりこれは新卒採用にも通じるものがあり、もともと終戦直後の高度成長期~バブル期にみられる俗に言う「モーレツ主義」は姿を消しつつありますが、これは私たち昭和の後半生まれが就職をする2000年代前半には既にその風潮がありました。ただ我々はそれに抗いたく、またそのマインドも持っていたのですが、就職したら髪を黒く染め、短く切るという一連の流れに真っ向から抗うことまではできず、少しずつ社会に順応して行きました。
今のひとたちはこの流れに少しずつぶつかっていく気構えと、またそれを後押しする社会の変化があると思います。多様性(という言葉で全てを括るのはどうかと思いますが)を尊重する社会。個性と能力を持ち合わせた人が活躍するのにこれほど良い社会もないでしょう。

自分らしく生きることと賃金のバランス

かたや個性にも能力にも乏しい人は、より自分らしく生きるために金銭ではなく時間や自由を更に追い求めていくことになります。週4回、週3回と働く日数を減らし、自由を求めた結果、賃金はその日数に応じたものになります。副業も自由にできる世の中ですが、誰しも副業で楽しく、かつ満足のいく稼ぎが出せるわけではありません。

生き方の選択によってパートナー(ここでは扶養家族)を持つか持たないかも選択されることになり、結婚しない選択肢、子を持たない選択肢、さらには同性カップルでの生活も今後は世間に認知されてどんどん住みやすくなっていくと思います。

わたしたち経営者はその多様性の本質をしっかりと理解することが必要であり、「どうせ今の若者はこう考えているんだろ」と物事の表面だけを見ているようでは今後の採用において大きなハンデを背負うことになります。

理解するということと同意するということはまた別であり、わたしたちに同じ生き方ができるかどうか、という観点だとハードルはより高くなります。理解する、ということは相手の考えを受け入れるという柔軟な思考と姿勢です。

子育てへの理解と関わり方

子育てということだけをピックアップしてみても、わたしはちょうど狭間にいると感じることがよくあります。1981年(昭和56年)生まれですが、
基本概念として(もちろんそうじゃない人もいると先に断ります)

自分より上の人はほとんど子育てに参加しないという会社優先型が多いですし、自分より下の人は共働きが当たり前であり子育ては夫婦共通のミッションだと認識している気がします。「おれは家のことは全くしない」と公言する人もそれなりにいますし、そういう人の奥様はそういうものだと諦めて(たとえ自分が仕事をしてようとしていまいと)家事育児を一手に担っておられる方が多いです。そのまま夫婦として成立しうる場合もありますし、昨今はやはり夫婦とはそうではないという風潮も一般化してきたので、離婚案件になることも多く見られます。

「嫁さんの手伝い大変だな。おむつも代えさせられたり、飯も作らされてるんだって?鬼嫁で大変だな…」

こんなワードは数年前までよく耳にしていました。いま口にしたらすぐに問題になりそうです。それくらいにここ数年での生き方というか常識は変化したと思います。その変化のスピードはとてつもなく早く、そしてこれからもそうでしょう。

私自身は(それでもしょっちゅう妻とは衝突していますが)家事育児について妻との役割をしっかりと分けています。業務柄、やはり飲み会は多くその度に不在にしてしまうので、下の子(4歳)の面倒がすべて妻に行ってしまいます。何度も話し合いを重ねましたがその都度衝突し譲歩し、現在は週3日は私が仕事・飲み会を含む仕事とし、残りの2日は妻の日として、妻がフリーにする日としています。その日は私は17時には業務を終え、子供を迎えに行き、買い物をして帰宅。夕食を作り家族に食べさせて、下の子を風呂に入れ、22時前には一緒に就寝です。

現代の共働き家庭において家事育児の分担はとても重要で、「一家の大黒柱」のような既に終わったワードに引きずられるのは愚の骨頂です。夫婦はそれぞれ個として尊重され、どちらかが過剰な負担を強いられるようなことがあれば途端に夫婦関係は破綻します。シングルマザー、あるいはシングルファザーだとしても肩身が狭かったり子育てできない時代ではないですが、金銭的な問題は残ります。時間的な問題としては現代社会では逆にまだ男性のほうが大変で、フルタイムでそれなりに働くのであれば何らかのサポートを受けないと子育てと仕事は両立しないでしょう。

これからの企業経営

企業を経営する人間はそういったことをサポートできる体制を整えていくということが、今後は企業としての営利と同じくらい求められていくと思います。それに乗り遅れ、利益は出て順調に推移しているが「男は働いてなんぼ!女はそれのサポート」のような思考回路が残っている企業は、遅かれ早かれ淘汰されていくと思います。儲けるだけではダメなのです。

儲けるだけではダメということは、働きやすい環境だけでもダメだということで、儲けなければ企業はそのうち破綻します。どちらか一方では成立しないのです。その両方が求められるということはこれからの経営者にとってとても大変なことでありますが、このようなことはこれまで大企業だけ、中小企業には関係ないと思っていた人も多かったのではないでしょうか。

上記のようなバランス感覚と経営才覚の両方が中小企業にも求められると私は思います。まとめると、

・ミーイズムを理解し若者の働き方と考えを深いところで理解する

・夫婦(またはパートナー)のあり方を広義で理解し、社員の働き方を整備する

・そのうえで適切な利益を確保する企業であり続ける

ハードすぎやしませんか?笑

でもこのことに向けて頑張っていきたいと思っています。
長文駄文になってしまいました。それではまた。

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