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「しなやかな社会」のインフラとしてのブロックチェーン

2009年にビットコインが稼働し始めて以降、様々なブロックチェーンや暗号資産が動き出しました。ここ2年くらいでは、DeFi(分散型金融)が注目を集め始め、DeFiサービス群で取引されている金額がどんどん増え続けています。

パブリックチェーンとコンソーシアム/プライベートチェーンの連携、オラクルの充実、インターオペラビリティ(相互運用性)の向上などブロックチェーンを取り巻く技術的進展も目まぐるしいものがあります。

こういう状況をみて、僕はこの先ブロックチェーンがしなやかな社会の土台として地位を確立していくと思っています。このことは、技術の歴史や経済について軽く振り返ると見えてくると思います。


お金は経済社会の血液

最近コロナショックによって世界の経済がパニック状態で、アメリカのニューヨーク株式市場ではサーキットブレーカーが何度も発動したり、日本でも歴史的な株価の下落が起こっています。このまま悪化すれば、コロナショックによって経済が停滞することが懸念されています。

ところで何故、経済が停滞すると困るのでしょうか?

答えは単純で、現在の経済社会では何かを始めたり続けたりするのにお金が必要だからです。経済が停滞すると活動するために必要なお金が流れなくなり、システム全体が機能不全に陥ってしまう訳です。

まるで、生き物の体内で血液がスムーズに流れなくなると病気になったり、最悪死に至ったりすることと同じですね。やはり経済も、僕たち生き物と同じように血(お金)の巡りが良いに越したことはないという訳です。

デジタル技術が情報流通のたがを外した

デジタル技術は情報の量や種類、そのやりとりの速度を極限まで高めました。扱える情報が増え、速くやりとりできることで、時間や国境の壁を越えてやりとりすることができるようになりました。

インターネットの研究は1960年頃から盛んに行われ、コンピュータ間を連携させて情報をやりとりする仕組みとして発展してきました。

1990年代、World Wide Webが登場したことで、それまで一部の人のものであったインターネットが一般の人でも使えるようになりました。2000年代に入ると、インターネットやWorld Wide Webを基盤として様々なビジネスが誕生し、ドットコムバブルと呼ばれる時期を経て、現在名を馳せている企業も数多く誕生しました。

2010年代には、Web2.0と呼ばれるトレンドが盛り上がってきました。これはウェブ上で誰もが発信者として発信することができるようになったことで、ウェブをより高度に利用することを差します。

このようなプロセスを経て、デジタル技術は情報を誰でも発信・受信できるようにしてきました。ニュースを手に入れる手段を新聞やTVなどマスメディアに頼るしかなかった時代と比べると、情報の受発信する仕組みが変わっていますね。情報流通のたがが外れていると言えます。

ブロックチェーン技術がデジタル世界に唯一性と経済を与えた

さて、そんなデジタル技術ですが、その性質故にできないことがありました。「資産」を扱うということです。ここでいう資産とは、お金や株式、権利、貴重な絵画など、価値のあるもの全般を差します。ここで「資産」において重要なことは、そこにしかないという証明です。

インターネットやWebはデータを複製できることが、その強みを担保している訳ですが、それが仇となって「資産」を扱うことを難しくしていました。

そんな中、ブロックチェーンはさまざまな暗号技術を駆使することで、特定のデータに唯一性を与えることに成功しました。複製することや改ざんすることができない状況を作ることで特定のデータを世界に1つだけのデータとして管理することができたのです。

そして、唯一性が生まれたことで自ずと希少性が生まれることになります。そのデータは世界に1つしかない。そのため、持っている人と持たざる人が生まれます。このギャップが生まれることで、それらを交換したり、取引したいというモチベーションが生まれます。これが、経済を形成します。

ブロックチェーンで拡張された経済

ビットコイン(Bitcoin)に代表されるようにブロックチェーンは誕生と同時に新しい経済を作りました。また、イーサリアム (Ethereum)のようなプラットフォーム型のブロックチェーンが開発されたことで、プログラマブルなお金を自由に作ることさえ可能になりました。

象徴的な動きとして、DeFi(分散型金融)と呼ばれる多種多様なP2P型金融サービスが誕生しています。このようなサービスのいくつかは、ブロックチェーンの外側のデータをオラクルを経由して取り込むことで法定通貨やその他のデータと連動するようになっています。

このように、ブロックチェーン技術によって、経済はより高い流動性を手に入れたのです。

しなやかな社会へ

血液であるお金や資産の巡りがよくなれば、人間の体と同じようにもっとしなやかな社会になっていくのではないだろうか。

・自分の信用に応じて個人が株式のようなトークン(Security Token)を発行して夢をかなえていく。

・自分の考えたキャラクターや物語などの知的財産が、2次利用3次利用されて広がり、使われた分だけ報酬が自分に入ってくる。

・銀行口座を持っていない人が口座を持つことができるようになる。

・NPOやソーシャルベンチャーへ寄付したら、寄付先でどれだけの社会的インパクトが生まれたのか分かる。

こうやって、お金の巡りがよくなることで、社会の1人ひとりの思いや努力やスキルがより活かされていく。それは結果として強い社会の実現に繋がるでしょう。その強さは、頑丈と言うよりも、しなやかな強さ。自然界も社会もチームも、多様性を活かせると強いはずです。

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