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事業承継(M&A)の相談先の失敗しない選び方

こんにちは。公認会計士としてM&A業界に約10年携わってきて、色々思うところや専門的な内容も含めて記事にしていきたいと思います。

1. 身近な相談先

オーナー経営者が第三者への事業承継(M&A)を考えた際、身近な相談相手としては以下の選択肢になると思います。
1.顧問税理士
2.取引金融機関


1.顧問税理士については、確かに長年会社の顧問税理士として会社の実態をよく把握しているため、一見すると相談すべき相手に思えます。しかし、税理士は税金を安くすることには精通しているものの、M&Aについては極めて専門性が高いため、M&Aの経験や知識は持っているケースはほとんどないのが実態です。また、M&Aにより顧問先が減少することになるため、積極的に動くインセンティブもありません。
例えば私が経験した中では、後継者不在で明らかに第三者への承継(M&A)の選択肢しかないにも関わらず、自社株価を引き下げるためのアドバイス(具体的には、節税対策の保険や持株会社化)が行われ、実行されているケースがありました。本来M&Aを行うのであれば、自社株価を高めていく必要があります。

2.取引金融機関については、最近の地域金融機関の中にはM&Aに積極的に取り組み始めている先もあります。しかし、営業エリアが限定的であり、有力な買手を探すことは難しいといえます。また、M&A経験者が少ないため、後述するM&A仲介会社に紹介するのみで終わるケースが多いのも実態です。最近の地域金融機関の中にはM&Aに積極的に取り組み始めがいる先もあります。しかし、営業エリアが限定的であり、有力な買手を探すことは難しいといえます。また、M&A経験者が少ないため、後述するM&A仲介会社に紹介するだけで終わるケースが多いのも実態です。

2. M&A専門家

M&A専門家は大別すると以下の2つに分類できます。
1.M&A仲介会社
2.FA(ファイナンシャル・アドバイザー)

1.M&A仲介会社、2.FAともに、M&Aの経験や知識が豊富であることが最大のメリットになります。両者の違いについて簡単に言えば、M&A仲介会社は報酬を売手と買手の双方から受領するのに対して、FAは報酬を売手もしくは買手のどちらか一方から受領するという点です。
世の中の中堅・中小企業M&Aにおいて、私の感覚的にはM&A専門家のうち9割以上がM&A仲介会社であると思います。その理由は、専門家の立場として、売手と買手の双方から報酬をもらえれば単純に2倍儲かるからに尽きます。
ここで、仮に売手の立場からすると、専門家が買手から報酬をもらうもらわないに関わらず、結局専門家に支払う報酬は変わらないから関係ないと思うかもしれません。しかし、M&A仲介会社の立場からすると、一度きりの取引となる売手よりも、今後継続して取引を行う可能性のある買手の利益を優先するインセンティブが働きます。その結果、本来の価値よりも低い金額で売却を余儀なくされる可能性が高まります。
話が長くなってしまうため別の記事でもう少し掘り下げて考えてみたいと思いますか、結論としては、優先的に相談すべきはFAであると考えています。
最後に、M&A専門家が仲介かFAかを判別できない場合、「相手側からも報酬を受領するか?」と聞いてYes、もしくは明確にNoと言えなければ仲介であるとすぐに分かります。

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