naoki0921

小さな会社を経営 政治・経済・経営・法律・行政・読書に興味あります。

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最近の記事

財務省の公債依存の問題点の指摘について考えてみる。

一 問題の所在 財務省のHPを見てみると、公債負担の問題点が指摘されている。 整理すると以下の点にあるようだ。 https://www.mof.go.jp/policy/budget/fiscal_condition/related_data/202110_02.pdf ①我が国では、社会保障の受益と負担の均衡がとれていない。 ②現在の世代が自分たちのために財政支出を行えば、将来世代に重いツケを回す。 ③望ましくない再分配 ④財政の硬直化による政策の自由度の減少 ⑤国債や

    • 独立開業で失敗する人、成功する人。

      一 はじめに 2009年に独立したので、独立開業してからはや15年。よくぞ続いたなと自分でも思うけど、とても気になる記事を見つけたので、書いてみたいと思いました。引用している記事にあるようなパターンだと高い確率で失敗しそうだなと思います。 二 開業前に気を付けておくこと、やってはいけない6つのこと 独立開業するときに気を付けないといけないことはたくさんあります。 以下の項目に該当しないように気を付けた方がいいです。ただでさえ不安定な分野に進出するのに、成功確率を高めない

      • 『「失敗」の経済政策史 川北隆雄著』 講談社現代新書

        一 はじめに  2014年6月18日初版なので、1990年代のバブル崩壊時、1997年の金融恐慌、2000年代の小泉改革の是非、2012年からのアベノミクス前半の金融緩和税策の是非について検討が加えられている。  1997年に消費税率を3%から5%に上げ、特別減税廃止と公的医療保険料の引上げも含めて9兆円の増税を実施した。その結果どうなったか。  景気が腰折れして金融不安が高まり、三洋証券、北海道拓殖銀行、山一證券など大型破綻が続出するようになった。  同じ轍を再び踏

        • 対GDP比政府債務残高258%の日本ではなく106%の英国政府で財政の信認が問われたのか~トラス政権経済政策の教訓

          1 はじめに  英国のリズ・トラスが2022年9月の就任からわずか1か月半で、辞意表明に追い込まれたのは記憶に新しい。経済失策をきっかけに市場、与党、国民の信頼を失い、求心力低下に歯止めがかからなかった。  トラス首相が採用した経済政策とは、大型減税策だった。しかし大型減税による国債増発が嫌気され、金融市場では英国の通貨・債券・株が大幅に売られたのである。  でも、おかしくない?  日本の政府債務残高は対GDP比で228%もあり、額にして1200兆円の債務を抱えていて、

        財務省の公債依存の問題点の指摘について考えてみる。

        • 独立開業で失敗する人、成功する人。

        • 『「失敗」の経済政策史 川北隆雄著』 講談社現代新書

        • 対GDP比政府債務残高258%の日本ではなく106%の英国政府で財政の信認が問われたのか~トラス政権経済政策の教訓

          読後感想「財務省と政治」清水真人著

          初版が2015年9月25日だから、55年体制が崩壊し自民党が下野して1993年に細川政権が誕生した前後から第二次安倍政権が発足して3年目ぐらいの2015年までの財務省と政治との関りあいを描いている。  コロナ対策のために巨額の国債を発行しても、国債の消化に困ることもなく極端なインフレも発生しなかった現在の地点から眺めてみると、なぜあれほど財務省が財源にこだわっているのかはいまだに理解できない。  しかし、当時は財政の持続可能性が本気で心配され、欧米の格付け会社による日本の

          読後感想「財務省と政治」清水真人著

          仕事のコツ part3~学力と仕事の相関関係

          大量の仕事をこなすには・・・。 仕事をため込まないためには  学力と仕事の出来不出来の相関関係があるのかというテーマは時折話題になる。仕事の内容にもよると思うが、私は相関関係があるように思う。  確かに、営業など、コミュニケーション能力などが必要とされる仕事はあまり学力と関係がないのかもしれないが、事務処理能力を問われるような仕事内容に関しては、学力が高い人たちは事務処理能力も高いように思われる。  なぜか。  学力の高い生徒たちの様子をよく観察してみると、共通の特徴

          仕事のコツ part3~学力と仕事の相関関係

          仕事のコツ part2

           目の前にある大量にある仕事をいかに処理するかは、仕事の性質を分類して優先順位をたて、緊急性のある仕事は溜めこまず、すぐやる癖をつけることが大事ということを書いた。  それでも仕事がすぐに溜まってしまうという人はいると思う。この人たちに共通して言えるのは、先読みができていないということだ。  対象となる仕事とリアルタイムで並行しながら仕事をしていると、仕事が溜まりやすい。生じたトラブルを後追いしているならなおさら仕事は増えていくばかりで到底追いつかないだろう。  仕事を

          仕事のコツ part2

          仕事のコツ

           新人や転職して間もない人たちは、右も左もわからない状態なのだから、職場の環境に慣れるまでは、とにかく与えられた仕事を愚直にこなすことが重要である。へたに仕事の効率性を追求すると失敗するのがおちなので、とりあえず目の前の仕事をこなしていくのが無難だと思う。    問題は職場に慣れた人たちである。上司や同僚に頼られる存在になれば、仕事の量は幾何級数的に増えていく。幾何級数的に増えた仕事をいかにうまく処理していくか、ここにできる人とできない人の差が出て道を分かつことになる。

          仕事のコツ

          書評「高校生のための経済学入門【新版】」ちくま新書

           普段は高校生に数学や英語を教えており、政治経済を教えることはないのだが、小論文を指導することもあり、高校生のなまの知識に触れることがある。  高校生にも千差万別あり、本書を手に取るような高校生はほんとうに経済に興味がある生徒だろう。多くは経済学とは何かをよくわからないまま、経済学部や経営学部、商学部に進学しているように思う。  著者の小塩隆士氏は立命館大学、東京学芸大学、神戸大学、一橋大学で教鞭をとっておられるから、学生とじかに接してみて、学生がそれほど経済に興味をもって

          書評「高校生のための経済学入門【新版】」ちくま新書

          国債の償還について

           2024年3月28日に令和6年度の予算案が参議院本会議で可決成立した。  一般会計の総額が112兆円で歳入に占める国債の割合は特例公債、建設公債あわせて31.2%、額にして約35兆円である。  一方歳出に占める国債費の割合は24.1%で額にすると約27兆円になる。 歳出のほぼ4分の1が国の借金の返済に充てられ、2024年度予算の一般会計では、社会保障費と地方交付税交付金、国債費の3つの経費が歳出全体の73.6%を占めている。 高齢化や国債の発行残高の増加に伴って、ほかの

          国債の償還について

          同性婚の是非~札幌高裁令和6年3月14日判決を素材にして

          一はじめに 同性婚の是非については、以前にも書いたことがある。どちらかというと民法739条や戸籍法74条の規定を憲法24条違反とするのは先鋭的な意見で地裁レベルでは一切認められていないし、比較的リベラルな人たちが多い憲法学者の中でもおそらく少数意見だと思われる。    ところが、札幌高裁は真正面から24条と向き合い、文理解釈によらず合目的的に文言を解釈して、「両性」を当事者と解釈しなおして民法・戸籍法の違憲判断を下している。  札幌地裁・高裁は昔からリベラルな判決を下すこ

          同性婚の是非~札幌高裁令和6年3月14日判決を素材にして

          マイナス金利解除と経済成長

           欧米ではインフレによる景気の過熱を抑制するために金利を上昇させる政策が行われている。  翻って我が国日本では先日やっと日銀がマイナス金利を解除するとの声明をだしたものの金融緩和は続けるという。 金利を上げるのかい?上げないのかい?どっちなんだい? 植田総裁の発言を受けて、株高、円安に反応しているので、市場は、日銀が金利を上げないと判断したようだ。 賃上げと物価の好循環の見通しがついたと日銀総裁はいうが、雇用者の7割が存在するといわれる中小企業では賃上げは難しいようだか

          マイナス金利解除と経済成長

          景気に対する消費税の影響について

          1はじめに  ふつうに考えると、消費税を課すことで商品やサービスの値段が10%上がっているわけだから、消費者は購入に躊躇するものと思える。したがって消費は抑制されるように思われる。どうしても必要な生活必需品にしても、類似の商品・サービスがあれば少しでも安い方に流れるようにも思う。そうすると、類似の商品・サービス間では価格競争になりやすい。インターネットが発達した現代では、商品価格を比較するのはたやすいから、より安い商品に向かいやすいように思える。消費税を導入することで消費者も

          景気に対する消費税の影響について

          書評 「腐敗する法の番人」 鮎川潤著

          一 大川原化工機事件という冤罪事件は特異な事件である。検察庁が第1回公判期日直前に公訴取消を行ったこと。それに続く国家賠償訴訟では、捜査した警視庁公安部の捜査官が事件を「捏造ですね」と証言したこと。そして、NHKが詳細な事件の概要を報道するに及んで、警察、検察のあり方に強い疑念を抱かせる事件となった。  かつて、検察庁は、大阪地検特捜部において前代未聞の証拠偽造をともなう冤罪事件を発生させ、社会から強い批判をあびた前例がある。もはや検察庁そのもののへの信頼性が失われ存続自体を

          書評 「腐敗する法の番人」 鮎川潤著

          観光業の生産性について考えてみると、日本経済の実像が見えてきたという話

          教え子と小論文のテーマについて話していたらおもしろい授業ができたので、紹介したいと思います。 ある日、生徒が「先生、コロナが明けて外国から観光客が増えているそうなのですが、日本の観光業の生産性は低いっていう話を聞きました。どういうことなんですか?」と質問してきました。 私「生産性の意味はわかる?」 生徒「う~ん?」 生産性という言葉だけではあいまいなので、議論を始める場合、まず生産性の定義をしなければなりません。小論文を書く時も同じです。読み手と書き手で言葉の定義が異

          観光業の生産性について考えてみると、日本経済の実像が見えてきたという話

          合成の誤謬と日本経済との関係

           合成の誤謬の観点から語られた言葉であるが、おおむね日本経済の長期低迷の原因を言い当てている。  個人や企業が合理的と思える行動をしてもマクロで正しい結果が現れるとは限らない。  もっとも、個人や企業が一見合理的と追われる行動をするのも、結局は政府が実施した政策のミスの結果である。  企業が景気低迷の中、設備投資や人的資本に投資をしなかったのは、単に利益追求だけでなく、国際競争力を担保すると称して法人税を下げ続けたためである。利益がでても税金がかからないため、企業は内部留保

          合成の誤謬と日本経済との関係