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展示会のかたち

2021年10月、小林融子さんが50年続けた融民藝店最後の展示会は、阿部眞士さんの展示会でした。
そして2023年10月、僕が引き継いだ融民藝店最初の展示会として、阿部眞士さんの展示会を開催させていただくことになりました。

そもそも展示会にどんな意味をつけられるだろうかと、ずっと考えていました。
岡山県民藝振興株式会社在籍中にはたくさんの展示会、催事をさせていただきました。「民藝を振興する」というミッションがあったからです。融民藝店ではどんなミッションをもつのか。
そんな時声をかけてくださったのが阿部眞士さんでした。
「やってみて見えることもあるんじゃないか。」

阿部眞士さんは父に阿部祐工氏をもち、祐工窯を継いで作陶されています。
阿部祐工さんは浜田庄司氏に師事し、出身の愛媛県砥部で作陶、備前の窯にも勤めたのち、九州民芸村河内窯の設立など戦後の民藝に尽力された方です。1971年、今の場所に移り祐工窯を開きます。
そのような中で育った阿部眞士さんですが、窯を継ぐよりもカメラマンを目指していました。(民藝に関わる方で写真が好きな人に出会う率は高いです。)その後祐工窯を継ぐため瀧田項一氏に3年間師事し、祐工窯にもどり父・祐工氏に師事します。陶器も白磁も学び、作陶していましたが、福岡市の鴻臚遺跡から出土した青磁花紋碗の復元事業に参加したことや古伊万里など古いものの魅力から学び、現在は白磁を中心に色絵や青磁などに取り組まれています。

お話をうかがうと、常に「学んで動く」を繰り返し積み重ねてこられたことを感じます。阿部眞士さんの器・言葉の説得力は、こういった学びの積み重ねがあるからこそ。
「品(ひん)」とは、積み重ねられた学びや経験だとすると、阿部眞士さんの器から感じる「品」に頷けます。

考えて動く。そこから見えたもの感じたものを次に繋げる。

浜田庄司さんや瀧田項一さん、阿部祐工さんから阿部眞士さんに繋がる線を、小林融子さんから繋がる線も重ねて展示会のかたちと出来たら。

考えすぎになりがちな僕に「動く」機会をくださった阿部さんに感謝しながら、しっかり並べたいと思います。

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