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中2のボクは小説家になりたいと書いた

中学2年生の三者面談。

具体的な志望校云々より、今後の進路決定に向けて様々意向調査だったり、現状把握だったりをする面談だった。

調査票みたいのがあって、各項目を埋めていって、最も困ったのが「志望する職業」欄だった。

幼少期は、いろいろと運転手系を夢見ていたが、小学生になる頃にはなくなり、それ以来特に就きたい職業というものに思い当たらずにいた。

最後まで就きたい職業が思い付かなかった中2のボクは、その欄に「小説家」と書いた。

小学生の頃は、「名探偵ホームズ」シリーズや江戸川乱歩の「少年探偵団」シリーズ、大河ドラマ「独眼竜政宗」にハマった時に伊達政宗の伝記などに加え、父親が読んでいた西村京太郎や齋藤栄の鉄道ミステリーなどを読んでいた。

中1の時には「小説を書こう」と急に思い立ち、わざわざ購入した原稿用紙とにらめっこして頓挫したこともあった。

でも、中2の頃は読書は進まず、執筆も頓挫してすっかり終了。
にもかかわらず、なぜ志望する職業が小説家なのか…

当時担任だった数学の先生も、そもそも本など読まない母もただただ苦笑いするだけ。

先生は否定こそしなかったものの、「まあ、いろいろ難しいし、大変そうだよね」と苦しげに返答して今後に期待といった雰囲気で終わった。

あの時、担任が国語の先生か読書家かで、「じゃあ本読まなくっちゃな」なんつってオススメの本なんて教えてくれたりしたら変わったんだろうか?

小説家志望については、この調査票の記入と面談で一旦消失する。
書いた時点でそれほど本気じゃなかったし、面談でそれがドラマを生むこともなかった。

時は過ぎ、高校まで読書自体が停滞していたものの、国語の教師を目指して進学した大学の国文学で読書に再び目覚める。

さらに、SNSやブログの登場と進化で発信の定義が大きく変わる時代を過ごす。

読書への目覚めとネット上の発信文化がボクの中で化学反応を起こし、今静かに文筆の道を目指す自分に気付かずにいられない。

嘘から出た誠、と言えば言い過ぎだけど、あの頃適当に書いた志望の職業が、もう少し本気度を増して還ってきた。

そういう意味では、強ちいい加減な夢ではなかったのかもしれない。

不惑を過ぎても惑ってばかりの毎日だけど、中2のボクが書いた「小説家」という夢に、もう一回向き合ってもいいかなと思っている。


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