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Excuse me!

とあるアパレルショップでバイトしていた時の話。

年始の初売りセールで混み合う店内の導線を整理するため、フロアの中央にあるエスカレーター(片道)を上り専用、フロアの端にある階段を下り専用にすることとしていました。

元々在庫管理に所属の私もフロアに配置され、主にお客さんの導線整理を担ったのですが。

あるカップルが階段を登っていこうとしています。

上からはお買い物を終えた帰りのお客さんが押し寄せているのに。

すかさず駆け寄りながら声をかけます。

「階段は下り専用となっております!」

しかしこのカップル、全く足を止めずに階段を登り始めたのです。

(おいおい)と思いながら、再度

「お客様!こちらの階段は下り専用です!」

それでも歩みを緩めさえしない。

そこで気付いたんです。はたと。

そこで勇気を振り絞り、踊り場に到達せんとするカップルに追いつき三たび声を、しかし確実に伝わるようにかけたのです。

「Excuse me!!」

振り返るカップル。

やはりそうだったかと思った私に、男性の方が返した言葉が

「日本人ですけど」

(じゃあなんでさっきからシカトなんだよ!なんとなく東南アジア系の顔に見えちゃったじゃねえか!どんだけ声張り上げたと思ってんだよ!)という早口の心の声をグッと堪えて

「た、大変申し訳ありません!こちらの階段は下り専用となっておりまして(早口)」

「あ、そうなの?」じゃねぇよ。

怪訝そうな顔してんじゃねぇよ。

あの日あの時あの場所で、私は確実に思った。

もうあかんわ。

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