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株ってなに?おいしいの?(3)

以前の記事はこちら。

 https://note.com/naoaki_chiba/n/n8dfd04af81f9


さて、企業価値を算出するには、いくつかの方法があります。

純資産法

会社の貸借対照表(Balance Sheet、BS)上のすべての資産から、有利子負債を引いた残り≒純資産の部の金額をもって、株主価値、と考える方法です。めちゃめちゃシンプルです。

たとえばBS上、資産が1000万円、有利子負債が900万円の場合、

純資産は100万円

100株発行している場合、一株1万円ということになります。

めちゃめちゃシンプルですね!

。。。が、純資産法というのはスタートアップの起業評価をする時にはほとんど使われていません。

なぜかと言うと。。。

純資産法で評価をする場合というのは会社がこれまで積み上げてきた利益(利益剰余金)をベースにして計算することになりますが

スタートアップというのは基本的に当初赤字の連続。

純資産法で計算してしまうと企業価値はプラスどころかむしろマイナスになってしまうことが普通とすら言えます。

純資産法は、その性格から、「会社の過去に着目した企業価値の評価方法」だと説明されることもありますが

スタートアップには未来しかありませんので(笑)、過去に着目をした純資産法というのはふさわしくない評価方法ということになります。

類似企業比準法

次にご紹介するのは類似企業比準法と呼ばれる方法です。

対象会社とビジネス内容が似ている会社をいくつか探してきて、その会社の売上や利益や純資産などを参考にして対象会社の企業価値を測るというものです。

ただこの方法にはいくつか大きな問題があります。

一つは、まず、「似ている会社」を探し出してくるということが非常に難しいということです。

上場企業を除く会社の財務諸表は基本的に公開されていません。

貸借対照表を公告しなければいけないということが会社法に書いてはいますが(注1)、これを遵守している会社というのはほとんど存在しないというのが実態です。

対象のスタートアップと似た規模の小さな会社を探そうとすると、必然的に非上場企業が対象になってきますが、そもそもその会社の財務情報を取得することができなければ、比較をするということ自体が非常に困難です。

さらには、「似ているかどうか」というところに、どうしても恣意的な判断が含まれてきてしまいます。

類似企業基準法はひとつの参考にはなりますけれども類似企業基準法だけで企業評価をするということは、スタートアップの企業価値評価では一般的ではないです。

では、純資産法でも、類似企業比準法でもなければ、どうすればよいのか?

このお話は次回に。

今日も1万回の失敗と挑戦を繰り返す起業家・スタートアップのみなさんを応援しています。


注1)会社法第440条第1項「株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表…を公告しなければならない。」

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