福島民報サロン6/5掲載

「朝が好き」

私は朝が得意だし大好きだ。これは子供のころから変わらない。高校生の時は自分で起きてお弁当と朝食を作って、歩いて竜田駅まで行って電車に乗っていた。でも当時はまだ自分が早起き好きなことを自覚していない。
そしてそれは社会人になってからも気づいていない。早起きが得意だから選んだわけではないが、パティシエの道に進み早朝から仕事をする事になった。
19歳で就職した修行時代は同期の誰よりも早く出勤した。それは早く仕事を覚えたくて、同期の誰よりも一番になりたかったからのもあるが、朝のひんやりとした空気や季節ごとに変わる空模様、朝早くからコンビニに行って朝ご飯を食べるのが楽しみだったからだ。私も必死の毎日で朝は5時には職場に行き、帰りは早くて22時近く。就職したての頃は0時を超える日が続いていた。当時を振り返っても鮮明に覚えているのが就職初日は「3日働いたら辞めよう」強くそう思ったこと。3日働いたら「1週間働いたら辞めよう」1週間働いたら「1か月働いたら辞めよう」その次は「3か月働いたら辞めよう」「半年働いたら辞めよう」「一年・・・」こんな風に働いてたらあっという間に3年は過ぎていた。
就職して1年目に珍しく寝坊したことがあった。と言っても本来は7時出勤なので遅刻はしていない。その時は6時過ぎに先輩が電話をくれた。話を聞いてみると「今まで片野(旧姓)は休まず一番に出勤していて、今日に限っていないなんてありえないから家で倒れてるかと思った」だそう。それだけ私は毎朝早く出勤しているのが当たり前になっていたのだ。
その後仕事を転々としワーホリで行ったドイツから帰国して水戸の新規ホテルに就職した。レストランパティシエだったが、なぜか朝食も担当するようになった。そうしてまた私の早朝出勤が始まったのである。こちらは朝6時30分オープンなので大体4時半出勤していた。この時は車通勤であったが、やはり朝の空気と、人や車がせわしなく行きかう日中の姿とは違う静かな道路や千波湖を眺めながら出勤するのが大好きだった。もともと朝ご飯が好きなこともあり、スープやみそ汁、おかゆや卵料理をつくるのは非常に楽しかった。ビュッフェスタイルのホテル朝食だったが、卵料理は注文を受けてからオープンキッチンで作っていた。種類は4種類。目玉焼き、スクランブルエッグ、プレーンオムレツ、チーズオムレツである。ホテルレストランで覚えて一番嬉しかったことは、間違いなくオムレツを作れるようになったことだ。
その後、結婚して一年が過ぎたころに第一子を授かった。産休ぎりぎりまで朝食担当として働き、そのまま育児休暇をとり、そこから私のアラームを使わない生活が始まった。結論から話すと、そこから現在までアラームを使っていない。厳密にいうと2度ほどアラームを設定したことはあるが、5分前に起床して未使用に終わった。自分でも不思議だが、大体この時間に起きたいと思うと起きれてしまう。今まで特技なんてなかったけど、これは私の特技だと今は自負している。私は朝が大好きだ。どんな天気でも、朝はエネルギーに満ち溢れて私にパワーをくれる。

楢葉町上繁岡 おかしなお菓子屋さんLiebe 代表

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