見出し画像

インターネットは現実だ

木村花さんが亡くなったニュースを見た。

私はテラスハウスを観ていなかったけど、いつだったか、
SNSで弱音を吐く花さんの発言を晒し上げて嘲笑うようなSNSの投稿を見かけた事がある。
だから余計にリアルで、ショックだった。

私も、生きていることの方が辛いと思った時期が人生にあったし、
何かを発信する身で揶揄される事もあるし、そんな彼女の死が
他人事とは思えなかった。
本当に悲しくて、思わず泣いて、めちゃくちゃに落ち込んだ。
(原因はまだ明らかになっていないけど、亡くなる前の彼女の投稿を見ると、最後に記念写真を残しているように見えた)

思い出すことが2つある。

ひとつめ。
もう何年も前、見た瞬間に息が止まるぐらいの、根も葉もない酷いコメントをもらったことがある。
しかもそれは、いつも好意的な応援コメントをくれていた人だったので、かなりびっくりしてしまった。
湧き上がったのは、悲しみや怒りではなく『一体何が起きたの!?』という感情だった。
すると数時間後、改めてそれに対する謝罪のコメントをもらった。
どうやら心の病を持っているようで、それが酷い状態になっていたときに書き込んでしまったことだったらしい。だから根も葉もない事は当然で、わざわざそう伝えてきてくれた事には安心した。
でも、理由がわかった反面、表立って何かをする事は、思ってもみないあらゆる衝撃を受ける可能性もあることを改めて思い知った。
その時期、私はネットとしばらく距離を置いた。

ふたつめ。
これはなぜ私に伝えてきたのか分からないけど、『嫌いなインフルエンサーがいる』という話をしてくれた女性がいる。
彼女はもともとはそのインフルエンサーのファンだったらしいのだけど、ある日投稿した内容について、アンチコメントのつもりはなく注意を促したらブロックされてしまい、それ以来その人の言動のあらゆることが嫌いになってしまった、という話だった。
彼女がアンチ活動をしてるかどうかは分からなかったけど、受け入れられなかった悲しみが怒りに変わったというのがよく分かる話で、そのインフルエンサーもきっとびっくりして、思わずブロックしてしまったのだと思う。

相手の顔が見えず、直接の知り合いでもない人たちが行き交うインターネットは、(文字だけだと特に)誤解を生んだりすることも多い。

そして花さんのニュースを知る前に、たまたまこの記事を読んでいた。

「私が太ってるからってネットで嫌がらせするのは気の毒な人たち」
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-36612885

この中で、ネットで誹謗中傷してきた相手をラジオ番組に呼び、話を聞いたくだりがある。

彼が言うには、私に攻撃的なメッセージを送りつけてきた頃、彼はどん底の状態にあった。仕事が大嫌いで、恋人にふられたばかりで寂しかった。自分の体が大嫌いで、太り過ぎだと悩んでいた。本人いわく、味気のない人生だった。
彼を突き動かしていたのが自己嫌悪だったと知って、目からうろこが落ちる思いだった。私に目をつけたのはなぜかというと、私が堂々としていてとても幸せそうに見えたからで、それがなぜか彼の怒りをかき立てたのだった。

この彼はTwitterに誹謗中傷を書いていたらしく、自分の意見に反応(反対であれアンチの賛同であれ)してくれる人が欲しかったのかもしれない、と思った。

私も昔Twitterで「デブ!」などと言われたことがあり、その人のプロフィールやタイムラインを見に行ったら、ダイエットをしている人だったことがある。
そのとき、『自分の身体が気になるから、誰かの身体も気になるのかも』と思った。
それ以来、例えばSNSで他人に「ブス」と言っている人は、日常がうまくいってなくて、自分の容姿が気になるんだな、と思うようになった。
本当に忙しい人はSNSに構っている暇はないし、意識していないものは見えないからだ。

生きていると、みんなそれぞれ色々な状況で出会うし、
誰かにとっては嬉しいはずの晴れの日が、誰かにとっては疎ましい日だったりもするのも分かる。
だけれど、(自分も含めて)『失敗せず、完璧に正しく』生きれる人間はいないから、会ったこともない誰かに完璧を求めることや、反応を求めて足を引っ張る書き込みでは、その世界は変えられないと思う。
誰かを傷つけたくなるほど苦しいのなら、身近で苦しみを話せる人を探す方がずっと良い。カウンセリングもある。
そして誰もがインターネットが身近になっている今、もっと真面目に、その使い方について考え直す必要があると、本当に本当に思う。

画面の向こうに、心を持って、生きた人間がいる。
インターネットは現実だ。

書き込む方もまた、インターネットに繋がる限り、匿名なんて無いし、調べれば名前や住所なんかも分かる、生きた人間だ。

木村花さんのご冥福をお祈りします。

サポートいただくと、かなり喜びます....!!! 今後のクリエイティブの活動費として使わせていただきます!!