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起こることが起こる。誰のせいでもないよ。
6年間、うちでシェフとして働いていた人が 隣町で店を出すことになりました。
店舗を借りて、それを修繕、アレンジしたり、お役所へのペーパーワークなど、たびたび私や夫に質問してきますが、明るい人柄で料理の腕もいい、センスもあるし、情熱的。きっとうまくいくだろうな、と安心して見ていました。
途中、市役所とのやりとりがスムーズでなかったり、規定に沿っていなかったことが判明したり、色んなことがあって、本人は頭を抱えていた時期もありました。予定していたオープンにも間にあいそうもありません。
けれど、そういうことって、誰のせいでもなく、起こりますよね。あの時、ああすればよかった、とか後悔の気持ちがわんさか湧いてくるかもしれませんが、でも、本人はいつもそのときのベストを尽くしていたはずです。
「大丈夫、成るようにしか成らないんだから!」と私は声を掛けます。
その言葉で彼も気づいて、気分を変えることができる、そこが素直でいいな、と思います。
これがいつまでも頭を抱えてあがいているようでは、物事はなかなか進まないかもしれません。「成るように成る」はずが、本人の現実への抵抗がそれを阻んでしまうのです。現実はいつだって正しいのです。どうやったって、変えることなんてできません。
自分のツゴウを押し通そうとしても無理なんです。
私は18年、小さいながら自分で商売をしてみて本当にそう思いました。
そして次に続く人に「大丈夫なんだよ」と心から言ってあげられることが嬉しいと思います。
「客商売なんて大変」
「レストランを10年も続けるなんてクレイジー過ぎる」
「寝ても覚めても仕事ばかり」
これらは私が同業者から聞いてきたステレオタイプのコメントですが、私はこれと同じことを言うつもりはないのです。
他の商売と同じように、レストランを続けるのも色んなことがあります。でも、お客さんに自分たちの商品をその場で提供して、その場で喜んでもらえるなんて、これほど打てば響くようなやりがいのある仕事はないと思っています。
もちろん、ネガティブなフィードバックがくることもありますが、それだって、速攻で改善していけるのでこんないいことはありません。
どんなことが起こっても、「あれ、いつの間にか何とかなってたね」っていうことことが幾らでもありました。
だから新しく店を出す、という彼の先行きにも、明るいイメージしか湧いてこなくて、ひとりニヤニヤしているところです。
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