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海沿いを走る。自分と旅に出る。
こちらには、もちろんゴールデンウイークなんてものはないけれど、急に3日ほど、ぽかんと空いたので、近場で、まだ行ったことのない海辺の景色を見てみようと思った。
車で1時間半かけて山を越え 太平洋を臨む、海岸沿いのハイウエイへ。
海岸沿いのくねくね道を、およそ120キロ走り続けながら、未知のビーチを訪ねてみる。
ゴールは、今は遠い他州へ引っ越した、友人のお気に入りのビーチ。
そのことだけを頼りにして、一人のロードトリップ。
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いくつもの、いくつもの海辺を歩く。
ひとりでいると、
自分が何を感じているのかに、ゆっくりと寄り添える。
何も考えずに、自分自身でいるだけの時間。
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波うちぎわを踏みしめて歩くうちに、
走り出したくなる衝動や、
その場で寝転んでみたくなったり、
岩を駈け上りたくなったり、
それらぜんぶ受け入れて、
自由に、
自由に、
自分に、したいことをさせてあげる。
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誰かが言っていた。
素晴らしい景色を見ても、となりで一緒にその美しさを共有してくれる人がいないと、つまんないよね、って。
一緒に、美味しいね、と食事したり、
きれいだね、と、絶景にカンゲキしたり、
それももちろん、掛け替えのない体験。
だけど、自分の中で、じっくりと
美味しさをかみしめ、
美しさを堪能するのは、また違う体験だよね。
比べることなんてできない。
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とある海辺で、大きな岩に出会った。
見上げて、写真を撮ったらこんな光が、ちょうど反射して私を喜ばせてくれた。
手を触れただけで込み上げてくる畏怖と、同時に、安心感。
砂浜を歩くとこんなに心が喜び、
岩に触れれば、こんな敬虔な気持ちに、
私は、なるのか。
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月曜日の朝、人気も少ない海辺に寝転んで 海鳴りが私のからだを撫ででいくに任せる。
意識の広がりが肉体を超えていく。
一人でいると 自分は何者でもなくなっていく。
妻や、母や、友人といった、役割もないし、
その名前を呼ばれることさえもない。
私は自分が誰であるかを、忘れてしまう。
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とにかく行ったことのない場所へ行きたかった。
そしてやっぱり海が見たかった。
瀬戸内海で育った私は、高校の修学旅行で初めて日本海を目にして依頼、水平線にすっかり心を掴まれてしまっている。
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泊まったホテルは個人経営の小さなホテル。古いけれど歴史を感じさせる。
1階にはバーとレストランがついていて、初日の夜、そこで頂いたデイナーは私にはしょっぱすぎた。メニューはほとんどがポークとチキンで、きっとベジタリアンには力を入れてないんだろうな。
食事があまり進まなかったので、デザートを頼んだら売れ切れだとサーバーが申し訳なさそうに伝える。
早々に部屋に戻って、持参してきた、とっておきのワインとチョコレートを開ける。
旅の食事というのは、大きな楽しみの一つだけど、こんなふうに ま、いっか、と思えるのは昼間に出会ったあのラウンジで、水平線を見ながら白身魚のセビーチェを食べていたからだろうか。
それは、それは、私に至福の時間を与えてくれた。
人魚が最後に、泡になって消えていくお話があるけれど、私も自分が、波間できらきら光る泡になって、一緒に消えてしまいそうだった。
それは、悲しいお話の結末ではなかったのかもしれない、とさえ思った。
自分が満たされていると、他のことは、あんまり気にならないものなんだな。逆に、それを楽しんでいる自分がいるのを見つける。
チョコレートが思いの外 カカオが強かったのか、カフェインに耐性がない私は殆ど眠れなかった。明け方少しまどろんだだけで目が覚めた。そんな時も私は「ああ、良く寝た!」とベッドの中、ノビをしながら呪文をかける。
普段は飲まないコーヒーを飲んで、1日の始まりをお祝い。
このホテルを応援したくなるのは、スタッフの誠意のあるサービス、大海に続く、大きな川のほとりにある、素朴なこの土地。この由緒ある建物に、私は心地よさを感じた。
窓の外にはレッドウッドの大樹。
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さて、二日目の朝。
近くのカフェで、のんびりしたら次のビーチへ。
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最後のゴールである、ビーチへは、こんな田園風景をしばらく通り抜けて。
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到着。
どこまで続いているのか分からないくらい、長くて、そして、砂の細かいビーチだった。
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風が強くて、砂粒が舞い上がる。
サングラスなしでは、目を開けてはいられないくらい。
でも、心は、どこまでも歩きたくて仕方がない。
わかったよ、
歩くよ!
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3日目。
チェックアウトまでゆっくりとホテルで過ごし、帰りは、なだらかな山道を下り、お馴染みのカリフォルニア101号線に出た。
街と、海辺を繋ぐ、この山道が私には大きなトンネルのようだ。
トンネルを抜けると、違う世界が待っている。
着いたのは、観光客の多いお洒落な街。ワインのテイスティングルームが多いせいか、陽気な笑い声、笑顔があちこちで弾けている。
私は、目的である、友達への誕生日ギフトを、迷いなく購入できて嬉しい。
そのお店で、美味しいピザを出す界隈のレストランを聞いて、サーディン入りのピザをランチに。
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ずっと美味しいピザが食べたかったから、夢見心地に(笑)。
もちろん一人では食べきれないから、残りはお持ち帰りに。
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帰りに立ち寄った、アンティークショップには.…
You are loved always….
あなたはいつも愛されている。
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知ってるよ!
私はいつも愛されている。
私はいつも、私に愛されている。
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