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お店への前祝い

今朝、お店のウェブサイトを通してお客様からのメールが届いていました。日付は昨日の夜。名前に覚えがあるどころか、もう10年来のロイヤルカスタマーです。

その彼がとても落ち着いたトーンで、書いたくれていたメールのタイトルは Congratulations!
おめでとうございます!

それが彼の皮肉なのかどうかは私には分かりません。

彼はこの数年、毎週金曜日か土曜日には うちのおスシを夕食に食べるのを恒例にしてきたと書いてあるとおり、毎週注文をしてくれていました。けれど、ここ数週間、テイクアウトのために電話をすると、忙しくてこれ以上のオーダーは受け入れられません、と言われたと。コロナの間も、ずっとサポートしてきたけれど、ここまで繁盛するとは本当におめでとう。けれど、しばらくの間はうちのお店を利用するのはやめておくよ、という内容でした。

同じように思っているレギュラーのお客様はたくさんいるかもしれません。

私は彼の飾らない、温厚な笑顔を思い浮かべながら、すぐに返事を書きました。

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コロナ前、店内営業をしていた時には、テイクアウトのオーダーはそれほどのボリュームではありませんでした。けれど、コロナが始まってからしばらくすると、テイクアウトだけでお店が回るようになり、お店の体制もそれに合わせたスタッフの人数でやってきました。

そしてこの6月の終わり、一年以上ぶりに店内営業を始めたました。きっとテイクアウトのお客様が、店内に戻ってきてくれるだろう、と思っていたのです。実際スタートしてみると、テイクアウトの数は減ることなく、ただ店内を利用して下さるお客様が増えた、という状況が明らかになりました。

もちろん店内営業のために、すでに人手は増やしていたのですが、それだけでは到底足らないことがわかりました。すぐに求人を出しましたが、カリフォルニアはどこも人手不足です。取引している大手の食品会社がドライバーがいなくて向こう2,3週間は配達が出来ないと、先週連絡があったくらいです。

うちも実は先週から休業日をもう一日増やしました。高校生、大学生のバイトが学校に戻ってますます営業が追い付かないのですが、やれることをやるしかない、と日々、その時に働いてくれているスタッフと全力で対応しています。

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けれど、電話でのオーダーや足を運んで下さった店内へのお客様をお断りしなければならない状況が多くあって、それが私の現在のストレスになっています。

そういったお店の現状を メールを送ってくれたお客様に伝えて、謝罪しました。そして注文の電話を早めにしてもらうことで、必ずオーダーに応えますから、ということも。

毎晩、営業が終わってお店を出て家に戻る途中、思うのはその日に来て頂いたお客様の笑顔や、お店に入れなくてがっかりした人の顔。もっともっと喜んでもらいたいのに、それができないもどかしさ。お店というハコがあって、人々がどんどん来てくれるのに、それに対応できないなんて。

いつも自分のツゴウのいいように物事が運ぶわけではありません。

だから、今の現状を潔く受け入れて、自分のやることをやり、自分の望む心象をあきらめずに描いていれば、いつか気づかないうちに順番がまわってきて、宇宙が私のツゴウを叶えるべく采配してくれるでしょう。

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Congratulations!

今日のメールのタイトルは前祝いだと思って、素直にコトバ通り受け取ることにしました。




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