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学ぶって楽しい

今年中学2年生になった娘の中学受験期は、わたし自身も受験勉強をしていました。

というと驚かれたり感心されたりしますが、もちろんすすんでやったわけではなく、必要に迫られて仕方なく、です。

一人っ子の娘が、過酷な中学受験に挑むには精神的に幼かったことに、入塾してから気づきました。

わたしと正反対でソロワークが苦手な性格。なんでも「みんなでわいわい楽しくやる」のが大好きで、負けず嫌いという言葉は辞書に存在しないかのようなのんびりした小学生に、中学受験の勉強を一人でやることを期待するなんて、とうてい無理な相談だったのです。

それに中学受験が「親子の受験」といわれるように、親のほうも受験の勉強範囲やレベルを把握しておかなくては、学校選びも、塾の先生との具体的な相談もできません。

そんなわけで、娘が小学校に行っている間に、仕事机の上で塾のテキストを開き、週間の勉強スケジュールを組んだり、国語に関しては模試や過去問を自分で解いて、娘に解説したりしていました。

そんな勉強の仕方が正解だったなんて思わないし、自宅学習を一人でやり、着実に成績を上げていく子の話を聞くとはげしく落ち込みもしましたが、でもとにかく、石にかじりつくようにして目標に向かって、不器用ながらも親子で一緒に勉強した2年半でした。

そんな娘が晴れて中学生になり、わたしの仕事机の隣から、娘の席と、受験用問題集がごっそり片づくと、今度は自然に「自分自身の興味があることを学んでみたい」という気持ちがむくむくとふくらんできました。

苦しいことばかりだと思っていた受験生活でしたが、わからなかったことがわかるようになる、知らなかったことを知れる、それによって視界が一段階明るく、広くなる楽しさを、わたしはどこかで感じていたのかもしれません。
 

まず申し込んだのは、金継ぎ教室。続いて、通信講座で風水アドバイザー資格取得講座を受講しました。通信講座を受けるのは初めてでしたが、動画やテキストで風水の理論を学び、何度も復習して覚え、実践として家族や友人の家の風水を鑑定させてもらって、無事に資格を取得しました。いずれはこの資格を使って何か新しい企画につなげられたら楽しそうだな、と思っています。

そして現在は、別の通信講座で米粉のお菓子づくりを学んでいます。新刊の執筆の合間に課題のメニューをつくり、提出して採点してもらう、ということを地道にやっています。
 
娘と同様、わたしも学生時代の勉強は嫌々やっていた記憶しかありませんが、大人になって、自ら学びたいと思ったことを能動的に学ぶのは、とても楽しい。

受験生の母として、仕事を一旦脇に置いて、子どものサポートに身を捧げたと思っていたけれど、いつのまにか自身の学びの意欲が刺激され、それが自宅のワークショップの開催にもつながっていることを考えると、すべてはリサーチや助走だったように思えてくるから不思議です。

人生、無駄なことは何一つありません。

*このエッセイは、冬に発売する新刊に収録するために書き下ろしたものでしたが、ページ数の関係で収録見送りとなったため、noteに公開することにしました。

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