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『門外不出モラトリアム』を観た

先日の徳力基彦さんの投稿を読んで、かなり興味を惹かれたZoom演劇『門外不出モラトリアム』が再演され、わたしも観ることができた。

「Zoomで生の演劇を観ること」は、実際その瞬間を迎えるまではなかなかイメージができなかったのだけど、想像以上の興奮体験だった。

フルリモート生活を送る若者たちの恋と友情を、役者も観客もZoomを通して共有する2時間半。
なにしろたった今、リアルタイムで演じられている生の芝居なので、どこまで芝居なのかハプニングなのか判別できないというハラハラ感と、ストーリー展開のドキドキ感が重なって、退屈する間もなく彼らの会話の行方をじーっと覗き続ける(というか観劇する)。
といっても、恋愛観察バラエティではもちろんないし、ファンタジーや謎解きの仕掛けもしっかり用意されている緻密な脚本で、また脇をかためる役者さんたちもみな魅力的だった。

そして、開演前に、リアルな劇場ではNG行為である、観劇しながらの飲食や会話、Zoom画面のスクリーンショットなども大歓迎です!とわざわざアナウンスしてくれたり、芝居の途中に観客のコメントがチャット欄にどんどん書き込まれたり、自宅でインターネットを使う環境でしか得られないおまけ的な楽しみにワクワクする感覚が、体験をさらに特別なものにしていたと思う。

Zoomでこんなことができるんだな!と感動するのと同時に、その可能性をこの状況下で探り当て、驚くべきスピード感で実現させた劇団ノーミーツのパワーに、終演後は力いっぱい拍手を送った。

全世界の誰もが苦境に立たされている今、それでも失敗を恐れずに動き続ける姿は、なんて人に元気を与えてくれるのだろう。
この『門外不出モラトリアム』が劇団の旗揚げ公演だったという彼らは、終演後、夏に2本目の作品を上演するという発表をした。
この勢いに乗らないでどうする!という気概が感じられてすばらしい!

きっとここから、リモートの可能性に挑む他の動きも、彼らの後を追うように次々と生まれてくるのだろう。
それを楽しみ、応援し、刺激もいっぱいもらおうと思う。

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