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Web制作が仕事になった日【後編】

こんにちは、naoです。
前回は、ぼくがWebサイトを作りはじめたきっかけについてでした。

今回は仕事としてスタートするまでのお話・・。

液晶工場と印刷会社

例のポータルサイトを閉じてから、しばらくは液晶モジュール工場のライン管理という仕事をしていました。精密機器の工場ということで、チリひとつないクリーンルーム、歩留まり改善、トヨタ式(カンバン、カイゼン)など、それまで知らなかった様々なことを学びました。5Sというものも徹底していて、これは人生そのものに大きなプラスになったと思います。

とはいえ、いつまでもそれでは未来が感じられないので、その後印刷会社に入ります。
4色オフセット機のオペレーターです。
これはなかなか修行が必要な仕事で、液晶工場のようにシステム化されておらずまさに職人の技を見て盗む系の職場でした。
そこでぼくは、その会社の営業部長と仲良くなります。
その頃、「自分のHTMLはプロとして通用するのではないか」と考えていたので、その営業部長に掛け合ってWeb制作を業務として取り入れるよう動いてみますが、なかなかうまくいかない。
このまま時間が過ぎていくのももったいないと感じて、再び職を変えることにしました。それでも、印刷機を回したことやその前後の工程に携わったことは大きな経験になりました。

Webの仕事をしよう!

当時は、XHTMLが出始めたころで、その規格を厳密にクリアしている証として「XHTML1.0 Strict」バッヂをサイトに貼るのが少し流行っていました。
ぼくもStrict準拠できていましたが、これは自分の技術力を知れる貴重な基準だったと思います。
「Strict対応できる、CSSが書ける」ということはプロのコーダーとしてやっていけると思い、ぼくはWeb制作会社に入ることにしました。

印刷会社の一部署

Web制作会社といいましたが、実際には印刷会社の中のWeb事業部というものです。とはいえ、前に勤めていた印刷会社よりかなり大きく、Web事業部は独立して街中にありました。当時地域で最も高いオフィスビルの最上階にあり、同じビル内には大手広告代理店が2社入っていて、向かいのビルには最大手広告代理店という、そういう立地です。
家賃が300万円となかなかですが、恐らくその立地で選んだものと思います。「ちょっと来て」と言われて秒で行ける距離感って大切なんですね。

仕事を覚える

そんなブイブイ言わせてた職場で、ぼくのコーディング力は即戦力として通用しました。美しく・間違いなく・速い。初日から先輩社員にコーディングを教えるということもしました。
とはいえ、当時のぼくは単にそれだけの存在です。それは作業であって仕事ではありませんし、業界の常識も知りません。やはりここでもたくさんのことを学びます。

  • 印刷データとの連携の取り方

  • ロゴや芸能人の扱い方

  • 納期

  • 情報管理(とりわけ広告代理店の)

  • 校正

  • 打ち合わせの仕方

  • ハッタリ

  • クリエイティブディレクターの椅子の座り方

ほかにも様々なことを学びました。
Web事業部といっても、大半の人は印刷関係のデザイナーや営業です。印刷物とWebの連携などは勉強になりました。
勉強のために会社にいるわけではありませんが、当然学ぶことだらけです。
どんな仕事も、必ず得るものがたくさんありますね。

そして独立へ・・・

最近ではフリーランスという言葉が一般的ですが、ぼくの頃は「独立」という言い方が一般的でしたし、その名の通り会社に入って腕を磨いて、クライアントから高く評価された者が独立する、というのが基本でした。
地元同業者の社長なども、就業経験なくいきなり起業した人はいません。

起業してうまくやっていくためには、

  • 業界経験

  • 人生経験

  • 同業者とのコネクション

  • 起業前にちゃんとクライアントがいる

  • 初年度を乗り越えられる資金またはそれだけの契約

といったものが必要です。
このうちどれか一つでも欠けているなら、ちょっと危ないなという気がします。

それはともかく、ぼくはWeb制作会社に入って5年目に、取引先のススメもあってフリーランスとして独立しました。
初年度の売上は1,000万円ほどだったと思います。

ひとりですべてのことは出来ない

ひとりで仕事をするというと、あれもこれもやらなきゃ・・と考える人もいるかもしれませんが、個人の時間は限られており、能力や向き不向きもあります。無理なことに手を出せば周囲に迷惑をかけたり、自滅する原因になります。
ですので、フリーランスでは「他人に任せられることは任せる」スタイルが大切だと思いますし、それは人ではなくてシステムに任せることもできるでしょう。
例えば経理などはクラウド会計ソフトに任せておけばほとんどすることはありませんし、仕事をくれる会社と提携しておけば営業をする必要はありません。

ぼくの場合は独自開発のCMSがあり、それを利用した制作体制は15年間大いに役立ってくれています。

表面的なスキルも大切ですが、ひとりで快適に(?)仕事を続けるための仕組みづくりこそ大切だと思います。

みなさん素敵なフリーランス生活をお楽しみください。