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読書に集中していたのは認める。降りるつもりの駅を過ぎていたことは、1度や2度じゃない。 …
「リディは事なかれ主義?」 「いきなりぃ何ですかぁ? ヒイロォ?」 「リディの戦闘を気配で…
無限に現れる鏡像の中に、未来の自分とか過去の自分、もしくは自分以外の何かの姿を探しなが…
「せっかくの本社出張なのに日帰りですか。ゆっくり話ができると思ったのに」 そう言ってく…
タブレットを持って近所の喫茶店に行き、店主こだわりのブレンドコーヒーを飲みながらイラス…
タイガは黙って続きを待った。ヒイロを見る目に力が入っているのは、光が薄らいできたからだ…
「本の香りに包まれて」サイドストーリー この世界に生きているのは、たった今ここに現れた彼らだけだ。 Tシャツにジーンズ姿のヒイロ。 華奢な身体を黒色のつなぎに納めているレイ。 そして、レイに左腕を捕まれ、右腕にはヨーヨーがからまっているタイガ。 その3人だけだと直観的に理解していても、あたりを見回して、タイガはため息をついた。 形を留めるエネルギーさえ奪われ、あらゆる物が崩れて元の形を失っている。 そこかしこには崩れている最中の塊があり、しかし元の姿はわからな
何かがぶつかってきた衝撃があった。それから、熱を感じた。 すぅっと体から力が抜けてい…
前編はこちら 乾いた破裂音がした後、カツヒコの言葉にならない叫び声が聞こえた。 怒りを…
バイト先から駅までは歩道橋を渡るのが近道だけれど、高い所が怖いボクは、歩道橋を歩くのも…
紙の本の匂いは、なんと心地よいのだろう。 生まれて初めて、こんなにたくさんの紙の本に…
女に手を引かれて歩きながら、俺は早く帰りたいと思ってしまう。 帰りたい場所は、この女…
寝床屋の管理人になると、仲間の気配に敏感になるのだろうか。 じっと眠っていた仲間が目…
どこへ行けばいいのかわからないまま、夜の中を、前を向いて走っている。 「どうしよう、死んだかな、殺したのかな」 乱れた息のままに話すから、結がつまずいた。転ばないように引っ張って、また走る。 「結は悪くない」 ボクが言うと、結は、ボクの左手をより強く握った。 行く手に壁が見えて、先が丁字路だと知って、角を曲がるために走るのをゆるめる。 左肩を、捕まれた。結の右手はボクが握っているのに。 振り向こうとしたら、見えるすべてが歪んだ。 結の泣きそうな顔もぐらりと歪んだ