見出し画像

2021年3月、ミラノからローマへ旅した話

今回のnoteでは、2021年3月にミラノからローマへ史料調査へ行った時の移動の話を書いていく。

州ごとにロックダウンの度合いが決められているイタリア。

ざっくり説明すると、イエロー、オレンジ、レッドの順にロックダウンの度合いが強まっていき、文化施設や学校、飲食店などもこの色別措置によって方針が定められている。

2021年3月1日からロンバルディア州(ミラノ)がオレンジゾーンに入ってしまったのに対し、ラツィオ州(ローマ)は3月14日までは奇跡的に一番段階の緩いロックダウンであるイエローゾーンにとどまっていたのであった。

美術館や文書館、図書館などは、イエローゾーンでないと一般には開放しない。

調査対象のローマがイエローゾーンのうちにということで、旅を決行したのであった。

★参考:「ゾーン別措置一覧(概要)」(在イタリア日本国総領事館ホームページより)


1. ミラノからローマへ高速鉄道で移動(往路)

3月のある日の朝、ローマに向かう列車に乗るためにミラノ中央駅に向かった。

この時、ミラノはオレンジゾーンではあったので、いつもより人は少なめという印象であった。

画像1

長距離移動用の鉄道を利用する人はこの列に並ぶように指示を受けた。

画像2

ゲートのところには警察がいたので流石にカメラを向けることはできなかったが、警察たちは移動のための宣誓書をチェックしていた。

画像3

こちらが今回利用する高速列車イータロー(italo)である。

ミラノからローマまで3時間ほどで行くことができる。

値段は70ユーロほどと高め。

画像4

フリックスバスや鈍行列車を使えば、20-30ユーロくらいでローマまで行くことができるが、いずれも8-9時間かかる。

初日は移動日であったが、早めに移動してお目当ての美術館に行き、時間を有効に使いたかったので高速列車を選んだわけである。

画像5

イータローの車内。

二列シートの隣は使えないように張り紙がしてある。

画像6

人もかなりまばらにしか乗っていなかった。

画像7

イタリアの主な鉄道として、イータローとトレニタリア(trenitalia)が挙げられるが、筆者は前者の方が車両も綺麗で乗り心地が良いと思っている。

画像8

淡い春の朝の空、車窓を流れる風景をゆるゆると眺めながら、ローマへの期待を膨らませる。

早朝に出発したわけではないのだが、車体の揺れに身を任せていると眠気が襲ってきて、遅めの二度寝をしたのであった。

画像9



2. ローマのホテルと街の歩き方

2-1. リーズナブルに泊まることができた三つ星ホテル

移動にお金がかかった分、今回はかなりリーズナブルに宿を取ることができた。

予約サイトによると駅に近いローマの三つ星ホテルとのこと。

決して新しくはないが、よく掃除されておりクラシカルな雰囲気が良い。

画像10

このお部屋、なんと1泊17ユーロであった(宿泊税込・朝食なし)。

画像11

おそらく通常時はもっと値段が張ると思うのだが、このご時世のせいか、良いホテルに破格の値段で泊まることができたのである。

難点を言えば、バスルームの電気が切れていてかなり暗かったことであるが、2019年頃まではカプセルホテル・ドミトリー芸人だった筆者にとって、この部屋は天国であった。

画像12

コンセントやWifiにも不備はなく、とても快適に滞在することができたのであった。


2-2. ローマでの公共交通機関チケット購入方法

さて、ローマを歩くには地下鉄・バスが乗り放題になるATACのチケットが必要である。


以前、「【聖地巡礼】『ジョジョの奇妙な冒険 第5部 黄金の風』ローマ編」(2019年3月27日付note)でもチケット購入方法を書いたのだが、改めて今回も記しておく。

参考:

チケットの種類は次の通り。

・24時間券 7ユーロ

・48時間券 12.5ユーロ

・72時間券 18ユーロ

・1回券 1.5ユーロ(利用開始から100分以内は有効)

・1週間定期 24ユーロ

ローマ

自身の滞在期間に合わせてチケットを選ぶのがよいであろう。

筆者の場合、ヴァチカンへ何度もメトロで行く用事があったこともあり、72時間券を購入した。

画像13

実はこれらのチケットは、奥に写っている駅のキオスクでも購入することができる。

自動販売機だとしばしばクレジットカードが使えない問題があったので、より確実にということで、今回は大きな駅のキオスクでチケットを購入したのであった。

海外の自販機を使うのが怖いという人(実際、購入している間にスリが寄ってくることも)は、キオスクにて対面でチケットを買った方がよいかもしれない。


3. トレニタリアで切符変更

今回筆者は、ローマ旅の帰路を途中で変更した。

というのもローマの旅程最終日の翌日にミラノで予定が入ったため、早めにミラノに戻りたくなったからである。

トレニタリアは、予約ページあるいは駅の窓口で切符の変更をすることができるので、返金して買い直すよりも変更した方がお得である。

ところが、当初予約した時の等級で、代替便として選ぶことができる列車の選択肢は変わってくるので注意である。

例えば、一等車、さらにオプションなどをつけた場合には、余計なお金をかけずに変更することが可能だが、二等車のお得な切符を買ってしまうと変更や返金が難しい場合が多い。

この辺は日本のJRと異なるところかもしれない。

筆者は当初、16:31にローマのティブルティーナ駅発、23:40にミラノ中央駅着の切符(29.9ユーロ)を購入していた。

画像14

乗車時間がかなり長いが、乗り換えの必要もなく、一応当日中に帰宅できるという格安チケットである。

往路でお金を使った分、復路は節約しようと思ったわけだが、もう少し早く帰りたかったので変更することにした。


まずトレニタリア(trenitalia)のマイページにログインする。

メールアドレスがあれば、トレニタリアの会員登録は簡単にできるのでマイページを作っておくと便利である。

言語はイタリア語のほか、英語、中国語、フランス語、ドイツ語に対応している。

画像15


右上のボタンからメニューを開き、「切符変更」(Modifica biglietto)に進む。

画像16


切符変更のページでは、切符を購入した時に送られてきたメールに記載されている番号と登録してあるメールアドレスを入力する。

画像17


すると現在予約している切符の情報が表示される。

画像18



変更したい切符にチェックを入れ、切符変更(Cambio biglietto)のボタンを押す。

ほか、予約変更(Cambio prenotazione)や払い戻し(Rimborso)のボタンがあると思うが、灰色になっているので今回は使うことができないという意味である。

例えば一等車など階級が高い切符を買えば、これらの措置を利用できるというわけである。

画像19


現在持っている切符から、変更可能な候補を検索していく。

画像20

ここではいくつか出てくるが、Non acquistabileとなっているのは、現在持っている切符の等級では購入できない切符という意味である。

赤字で値段が出ている切符は、選択可能なものである。

画像21



試しに今持っている切符は捨てて、新しく切符を買った場合はどうなるかと思い、同日・同区間で検索してみたところ、直前だったせいかこのように値段が高い切符ばかりであった。

ローマ




ということで候補に出てきたこちらの切符に変更することにした。

画像23

つまり、「16:31 ローマ・ティブルティーナ駅発、23:40 ミラノ中央駅着(29.9ユーロ)」から「12:40 ローマ・ティブルティーナ駅発、19:40 ミラノ中央駅着(61.5ユーロ)」に変更したわけである。



次の画面で決済に進む。

画像24

この画面からも分かるように、61.5ユーロのうち、当初支払っていた29.9ユーロを差し引いた額である31.6ユーロが請求されている。

画像25

もともと支払っていた切符のお金が無駄にならず、新しく切符を買い直すよりははるかに安く済んで嬉しい。

乗車時間は確かに長いが、乗り換えの必要もないので、午後はゆっくり作業する日と決め込み、変更したのであった。


しばらくすると変更された切符のデータがメールに送られてきた。

画像26

乗車日当日にこちらをすぐに見せることができるように、スクリーンショットしたのであった。





4. ローマからミラノへ(復路)

ローマ最終日は午前中で予定を済ませて、ローマ・ティブルティーナ駅に向かった。

画像27

ローマのテルミニ駅から地下鉄で10分弱の駅であるが、駅自体が広いため、余裕を持って移動したいところ。


出発前に確認した電光掲示板では16番ホームとなっていたため、ホームに降りる。

画像28


しばらくスマホをいじりつつぼんやりしていたのだが、なんだか周りが騒がしい。

周りを見渡してみると、16番ホームにいた人たちがゾロゾロと移動している。

これはおかしいと思い、電光掲示板を確認するとホーム番号が17に変更されていた(写真では見にくいが)。

画像29


改めて駅員さんに確認すると、「隣のホームに変更になったから移動するよ」とのこと。

画像30

この人たちについていけば安心なことは間違いないが、出発の10分まえにホームが変わるとは...

イタリアやフランスではありがちのこととして聞いてはいたが、初めて体験するとやはり焦る。

画像31


やってきた電車は特急ではないのでやや古い印象。

画像32


ところが中に入ると意外に綺麗で安心した。

画像33

ちゃんとコンセントもついている上に、とても空いていたので、一人でボックス席を使うことができた。

画像34

画像35


以上、今回のローマ旅の移動方法とホテルのことをまとめてみた。

2021年春現在、州外に移動するには自己宣誓書が必要であるために常に気を張っていなければならない。

鉄道は値段も高めの傾向が続き、なかなか移動もしづらいが、なるべく文書館などが開いている時に再び史料調査に行きたいと思っているのであった。

次回のnoteからはローマの美術館やカフェのことを書いていくので乞うご期待。

(文責・写真:増永菜生 @nao_masunaga




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?