自我

もう失うものはない

まだ幼い彼は全てを捨てて流転の道を進む

人にもまれて流されて

「我が身さえあれば心変わろうと構いやしない」

彼は衰退していく道に覚悟していた。

いつか会う古い友達に過去の自分の姿が映る

「自分は以前と変わってしまった」

体も心も昔とは違う自分になってしまったが、それでも変わらないものはある

自我すら認識せずに、ただひたすら生きるために進んでいたが、そうそう自分とは変わらないものだ

どんなに我が身を捨てようと思っても、持って生まれたものはそれ自体が独創的で確固たる個人である

好きだったものはいつになっても好きだし、苦手なものは相変わらず慣れることがない

破壊と再生を繰り返しても大丈夫だ

自分というものはなかなか変わりやしないから

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