秋の匂い

すっかり秋が来て、夏の出来事が遠い昔に帰ってしまった。
まだ思い出せるけど、君は今何してるんだろう。ぼんやりと同じことを繰り返し思ううちに数週間が経った。

進んだ分戻れなくなって、関わるほど色濃く記憶に残ってしまうのにまた会いたくなるのは多分…そう。何なのか分からない。分からないままにしておくのは日持ちしないケーキを冷蔵庫に入れておくのと同じこと。悪いことじゃないけど、長引かせて良いものかも分からない。


どうしても寂しくなるまで、と大切に取っておいた思い出を、いつ開けてしまおうか未だに迷っている。
何度でも振り返れたとしても初めの1回目は一度しかないから、タイミング良くいきたいけどどうか上手くいきますように。


映画や物語なら二人は何度でも出会えるのに、私たちは努力しないと繋がっていられない。
四六時中考えていても、ふと思い出しただけだとしてもどっちでも良くて、ただ声が聞きたいだけ。触れられる距離に居てほしいと願うのは最高のわがまま。

いつかすっかり忘れるくらい歳を取り過ぎても良いから、まだ今のうちはもう少しだけと思う。
表の顔でも裏の顔でもどっちでも良くて、どっちでも君だし私なんだよ。



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