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自分で選んで自分になる


何度かいろんなところで書いているような気がするけれど、私の読書歴は浅い。
生涯で読んできた作品数なんて、今こんなに「読書!読書!」と言っている割には比較的少ないのではないだろうか。


私が生まれ育った実家には大人が読む本がほとんどなかった。それは両親があまり本を読まないからで、買い与えてもらった絵本や児童文学書はたくさんあったものの、子供向け以外の本はホコリをかぶった「家庭の医学」とか、「腰痛の治し方」とか、それくらいだった。子どものころはそのことになんの疑問も抱かなかったのだけど、でも、成長するにつれて自分が本を読めないことに対して煩わしさを感じるようになった。
ホームルームと1時間目の間の読書時間も、夏休みに読書感想文を書くときも、活字をきちんと追えない自分が嫌だった。


「本を読めたら、なんかかっこいいな。」
漠然とそう思っては本屋さんで表紙がきれいな本を買ってみる。しかし1ページも読めずに、買っただけで満足するようなことが数えきれないくらいあった。


しかしながら「アナログがなんかかっこいい」という、これまた漠然とした思いが私の奥底に染みついているようで(なぜかは自分でも把握していない)、
紙の本自体も好きだったし、それを読むのに没頭することへの憧れはどれだけ読めない本が自分の部屋に蓄積されていこうとも捨てきれなかった。


「お母さんの本棚で見つけた本、おもしろい。」
「親のすすめでこれを読んでいる。」
学校での朝の読書時間の前、読む本を用意するほんの少しの間に聞こえてくるそんな声が本当にうらやましかった。
うちの両親も本を読む人たちだったらなと何度思ったことか。


だから、誰に言われるでもなく自分の意思で本を読むことを自分の人生の一部にした。活字を追うのが苦手だったところから読書が好きだと言えるようになるまではとてつもなくたくさんの時間を要したけれど、それでもめげずに続けていたらちゃんと読書は私の人生の一部になった。その一部は今、間違いなく私の人生に潤いを与えてくれている。

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