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ポスト・コロナの計画論(2):シアトル・ダウンタウンの現在(2021)

2020年、シアトルのダウンタウンはパンデミックの影響だけでなく、大規模な暴動も起き、ビジネス面や治安面から大きなダメージを受けました。ダウンタウン南部のインターナショナル・ディストリクト(シアトルのアジア人街)で始まったBLM(Black Lives Matter)のマーチはその後暴動に発展し、ダウンタウンの中心部で車が燃やされたり、強奪が起きたり、キャピトルヒルの自治区形成へもつながりました。

2021年もダウンタウンでは空き店舗が目立ち、一階店舗のガラス面が板で覆われたところも見られます。中でも3rdストリートは空き店舗が目立ち、その前にホームレスのテントが列をなしています。

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※3rdの写真は撮れませんでしたが・・・現在のダウンタウンの商業中心です

ちなみにシアトルのあるワシントン州は「ブルー(民主党のカラー)・ステート」と呼ばれる強固な民主党支持の州で、シアトル市は中でもポートランドと同じように非常に「プログレッシブ(先進的な)」都市と言われています。もともと非常にリベラルなところがシアトルのいいところではあったのですが、リベラルな政策への偏りも、様々な歪みをもたらしているようです。
国政レベルでも、バイデン大統領の「ビルド・バック・ベター」法案という歴史的なレベルでの巨額の公的支出に対して、成立に向けた共和党との党派を超えた連携という議論の前に、まず民主党内でプログレッシブ派と中道派が分裂しているような状況です。(下記NYT記事参照)

先日、1期限りで辞める現シアトル市長に代わる次の市長を選ぶ選挙があり、その結果、より中道派の候補が当選しました。
これは警察への予算カットを進めようとする勢力に対しての不安を示すものでもあると思います。BLMの影響は大きく、去年から警察官が数多く辞職し、911(アメリカの110番)に対するレスポンス時間が長くなっているという統計も出ています。このことは、市長戦の争点となり、市長候補同士のテレビ討論会でも中心の話題となりました。

パンデミックは格差を縮小するのでは無いかという議論が当初はありましたが、結果的に格差拡大につながり、物不足・人不足からインフレが急激に進み、ホームレス問題も深刻化しました。この間、多くの警察官が辞め、人種問題が強調され、治安への不安が増大してきました。
(昼間に歩いている分には特に問題が無いですが・・・)

どうやって安心してダウンタウンに来てもらうか?が現在のダウンタウンの課題となっています。ここのところ、一番の観光地であるパイクプレイス・マーケットにはたくさんの人が訪れています。周辺は、天気が良い日にはにぎわいをみせるようになりました。

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シアトル市はパンデミックが拡大したゆがみに対して、ダウンタウン・リカバリープランを形成し、「再オープン」のかたちをつくろうとしています。