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にんげんとどうぶつというものについて考える-齊藤コン『はる、むしむし』-

 日曜日の朝にどうぶつ体操というものインスタライブで配信している齊藤コンさんは行っています。色んな動物の動きを人間の身体で再現していくことで、私たちの人間の身体の中にある動物を感じることができるなかなか楽しいものです。彼女はAnimalFlowのインストラクターでもあります。私がそのクラスに参加した時に四つん這いでの歩き方をやってもらったのですが、元々人間は4足歩行なのではないかという自然さの動きを見せてくれました。そのようなコンさんが作品を発表するというので、キラリ☆ふじみに行くことにいたしました。

 まず「観るまえor観てから、ちょっと身体を動かしてみよう」というワークショップに参加しました。チームに分かれて進むと停まるの2つの合図を決め、チームの中で狩人に選ばれた人が他の人の合図を頼りに暗闇の中を獲物を目指して進んでいくというものでした。言葉を使わないコミュニケーションを他の人と行い、四つ足で進んでいく。普段しない行動であるがゆえ、人への信頼がないと何もできない状態となります。そこには言語ではないもので連なった群れというものを感じるものでした。

 そして『はる、むしむし』のダンス公演の時間となりました。光沢のある衣装をまとったコンさんは四つん這いとなって廊下を駆けてきます。そして会場に着くと逆さに吊された桜らしき枝の下で色んなパフォーマンスを繰り広げます。それがとても動物的で人間離れしたものでした。そのため、私はコンさんの世界を遠く感じるのでした。そこには人間と動物の距離感を感じるようでした。以前観た動物の動きはあくまで動物のような動きだったので、何故そのような動きをするのかを考える余地があったけれど、動物の動きになってしまうと違うものを感じるのだなとおどろかされました。最後にコンさんは外に飛び出し、噴水の中を四つん這いになって駆けていきます。そこには人間社会の外にいる強さというものを感じるのでした。

 でも、これはあくまで私の感じたもので、アフタートークで語られた昼の部に参加していた子ども達はコンさんのパフォーマンスの最中に一緒になって踊っていたようなのです。その子ども達に取ってとても身近な存在なのでしょう。私はあまりにも人間でありすぎているのかもしれない。そのエピソードを聞いて思うのです。もし、この作品を山の中で行ったら、そしてAnimalFlowなどの身体をもっと動かしてから観たら感想は変わるかもしれない。そんなことも思うのです。意識さえ変えれば、人は人間的にもホモサピエンスという動物にもなることができる。そんなことも思うのです。観るだけではなく行うも必要な作品なのかもしれないなと思うのでした。


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