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高齢世代はSNSを見てないし、STがST向けの発信を続けてもインフルエンサーになれない

言語聴覚士はSNSで何を発信するか?

ほとんどの言語聴覚士は高齢者医療に従事している。
社会の需要や需要に対する制度の充実は、高齢者医療とその関連産業が中心になっているからだ。

なのでインターネットやSNSに戦場を移すと、その専門性を発揮するのが難しい。2021年現在、ネットを見る高齢者はまだほとんど居ないためである。

畢竟、リハビリ職はリハビリ職向けの発信をはじめることになる。
理学療法士の場合、それなりに成立する。単純に、15万人も居るのでネット人口も多い。作業療法士や柔道整復師、鍼灸師、スポーツインストラクターやヨガやピラティスインストラクターなど、周辺産業就業者も多くかつ若い世代だ。
noteで、並み居る猛者と肩を並べてフォロワーランキング最上位に某理学療法士さんが食い込めているのもそれが大きいだろう。

言語聴覚士はどうだろうか。

現在、全国の言語聴覚士は4万人。これはとても少ない。東証一部上場企業の規模くらいか、それよりも少ない。インターネットをやっている人は、ざっと見積もって(学生なども含めて)5,000〜10,000人程度だ。これじゃあインフルエンサーにはなれない。

(現場ではなかなか出会えない数少ないST同士、親睦を深めることは充分にできるし、私もその恩恵にあずかることは多々あるのだが、今回は規模をでっかくやりたい人向けのお話として読んでください。)

STがST向けの発信をしても、インフルエンサーにはなれない

そもそも選ぶ戦場を間違っているのだ。

※ インフルエンサー = 5〜10万人規模、マイクロインフルエンサー = 5,000〜1万人規模を想定している。

ニッチにはニッチの戦い方がある

言語聴覚士と言語聴覚療法はどう考えてもニッチ産業として、ニッチにはニッチにふさわしい戦い方がある。
それは、

① 少数に対しラグジュアリーな商品|サービスを提供するか
② 対象者を広くとるか

ウェブには向かない戦略

人数が少ない場合、それぞれの人たちからたくさん受け取ることで採算が取れることがある。つまりラグジュアリーサービスや希少情報商材である。だが、これは基本無料で閲覧できることが前提のインターネットには向かない。世の中には会員制サロンなどで高額を売り抜ける人も居るが、それはその数万〜十万倍の無課金フォロワーが前提になっているので、結局対象マーケットを広く取る戦略が必要になる。STというニッチな産業では無理だ。

高額を受け取るには信用が必要(あたりまえ)

脱線してしまうが、たとえばST養成校、年間100万円ほどかかるがあれは国家試験受験資格を得られるという社会的信用が前提になっている。日本言語聴覚士協会、年会費が1万円かかるが、特に疑問に思う人は居ない。そのほか、各種研修会や講習会などで5万円〜10万円かかるものがあるが、その価値と信用があるので喜んで支払う。

非公式で権威付け無くいきなり、少数に対してラグジュアリーな商品を展開するには、少なくとも実態のある事業を構築する必要があるし、今のところインターネット上だけでは難しいだろう。特にST対STでは無理だ。おすすめしない。というか、「ネット上で人気者になりたい」という主旨とはまったく関係がない話になってしまった。

さらなる脱線だが、なんのためにフォロワーや注目を集めたいのか?はちゃんと決めておいたほうがいい。それで食べていきたいのか、副収入を得たいのか、ただたんに人気者になりたいのか、ストレス発散をしたいのか、特定の人物に褒められたいのか・・・取るべき戦略はまったくちがう。そこで迷走してしまう人は意外といる。

対象者を広く取るには

言語聴覚療法でも、いくつかの方法がある。

・若年一般層向け(=子育て世代向け・健康な人向け)
・看護師向け
・保育士向け
・学校教員向け(?)

人数が多いのは上記4つの層である。
結論が出たので終わりにしようかと思ったけれど、最後に言語聴覚士とからめて対象者を広く取るわたしなりのコツを授けよう。

興味のフックを探す・見つける・切り出す

ことばの発達ラジオ、この回で、料理教室に通っていたときにエピソードを話している。言語聴覚士の文脈の外に居る人が、最初に関心を寄せてくれる話題は何か?を探っていくことはひとつの有効な方法だ。

自分は最近では仕事柄、税理士さん、印刷会社さん、デザイナーさん、編集者さん、映像制作会社さんなど、医療福祉教育とは直接関係がない職種の人と交流を持つようになった。
そうした人が「言語聴覚士」という耳慣れない職業を聞いたとき、まず最初に何を質問してくださるのか、どこに関心を寄せてくださるのか、常に注目している。

そこから製作した記事が、次の2本である。


世間の人が関心を寄せる話題は

世間一般の人が関心を寄せる"3大言語聴覚士的なジャンル"に、「滑舌」・「吃音(吃り)」・「子どものかわいい言いまちがい」があることがわかった。
そりゃそうだ、一般の人にとって、「障害」は馴染みのない話題だからね。特に、高齢者層が多い失語症や高次脳機能障害に関心を持ってと言われてわかりましたとなる人はとても少ないと思う。
これは有料級の情報だが出血大サービスでポロッと書いてしまっている。

こうした、日常にありふれているきっかけから、知的好奇心やおもしろさに繋げていくテーマが見つかったらそれは賞味期限が長くて古くならないので強い。

ちなみに、賞味期限が短めだけど世の中で共通の関心事になる時事的な話題に乗っかるのも手。私のコンテンツで言うと、マスクと言語発達の話題とか。

あとは、私はあまりやらないけど、喉頭や舌を摘出して声のリハビリを受けている著名人のことを取り上げるとかもそれ。

カジュアルな話題と真面目な話題の両方が持ちネタにあると強い

言語聴覚士は真面目なお仕事なので、どうしても敷居が高くみられがちだなと思っている。いつも真面目な話題がもとめられる場ばかりではないのでカジュアルな持ちネタも必要になる。
個人的には「障害支援」や「意識の高さ」ではなくエンタメ的気軽さで興味を持ってもらえる内容を探すことも重要だと感じている。

ひたすら磨く

テーマの切り出しが成功したら、それを引き続き磨いていく必要がある。

話芸を磨いたり

ほかのプレゼンテーションを使ったアプローチを探究する。


あちこちで話していくうちに、面白いと思ってもらえる編集長さんに出会い、コラボも実現した。

同じことを繰り返し言っていくのは大事

おしまい。

いただいたサポートは、ことばの相談室ことりの教材・教具の購入に充てさせていただきます。