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天神講に思う


富山県南砺(なんと)市で家を探して10ヶ月目に今暮らしている家を紹介頂きました。
 
当時まだそこには老夫婦が暮らしていて、
家具や電化製品もそのまま置いて行かれました。
 
南砺市には『移住促進』の助成金が用意されていて、
空家バンクに登録されている家には片付け費用などの助成が受けられます。
 
その制度を使って、
金ピカで立派なお仏壇が撤去されました。
 
 
ところで富山県には『天神様』と言う風習があり、
年末から1ヶ月間の間
天神様を家に迎え入れお世話をします。
 
そんな風習があることを知らなかったので、
家の中を案内された時に
廊下にあった『天神様』と書いてある大きな箱を見て
???となりました。
 
天神様???

家に神様を祀る風習などなく、
それも神棚とかでもなく期間限定で???
 
 
代々続く伝統とは無縁の家に育ったので、
伝統や風習には興味がありリスペクトしているので、
後で調べてきちんと守ろうと思い、
処分しないで下さいとお願いしましたが、
移住した時には天神様はおらず
とても残念な思いをしました。
 
 
天神様とは菅原道真公のことで、
太宰府天満宮にお祀りされている学問の神様です。
(人間が神様になった経緯は割愛します)
 
その天神様にあやかって、
 
その家に長男が生まれたら、
母親の実家から天神様が送られて来て、
お正月を挟んだ1ヶ月間床の間にお祀りをして
子供の成長と家の繁栄を願います。
 
今は掛け軸をお祀りするところも増えましたが、
昔は井波彫刻の彫刻師さんが彫られた
木彫りの天神様を購入して
床の間に祭壇をこしらえてお祀りしていたそうです。
 
 
私が井波彫刻の事務局で働いていた時にも
秋に開催される天神様の展示即売会がありましたが、
年々規模が縮小されていると聞きます。
 
 
例えば家に床の間がないなど、
天神様を贈られても困るケースも増えて来たとか。
 
一体一体手作りの木彫りの天神様なので
それに相応しい値段で販売されているので、
そのお金を別の使い方をして欲しいとか、
現金で貰った方が有り難いとも言われるそうです。
 
 
私が暮らしている築150年の古民家のような
先祖代々から暮らしていた
伝統的建築様式の大きな古民家からは、
 
人がどんどんと居なくなり、
老夫婦だけの家も増えています。
 
 
天神様をお祀りできる古民家が空き家になり
天神様を家にお迎えすると言う風習も
将来には無くなってしまうのかなと
 
やっと守れる伝統が出来た暮らしの中で生活している私は
寂しく思っています。

田舎移住のウソ・ホント🌟築150年の古民家を買っちゃった❣なつみんです🌻 富山県南砺(なんと)市に移住をして丸3年経った2020年からは、 新規就農した夫を手伝って農作業もしています。 サポート頂いたものでより美味しい農作物を作る糧にします❣