見出し画像

トルコで絨毯詐欺にあった話①

僕は詐欺に引っかからない絶対的な自信があった。

イスタンブールにある観光スポット「地下宮殿」を出ると、小太りな年齢40歳ぐらいのトルコ人が日本語で、僕たち4人に話しかけてきた。

「どこに行くんですか?」

僕たちはイスタンブールを観光している真っ最中。しかし、イスタンブールに訪れたのは初めて。これから大聖堂「アヤソフィア」に行きたく、道を聞きたい。

しかし、現地の人から話しかけてくるのは、何か企みがあるのを旅の経験から学んでいた。

例えば、モロッコ旅行のとき。ホテルへの道を迷っていると、現地の人が優しく

「そのホテルはこっちだよ」

と、ホテルの前まで案内してくれた。

「ありがとう」

と伝え、ホテルに入ろうとするといきなり、

「チップを寄こせと」

横柄な態度をとってきた。

そっちから、勝手に案内してきたのではないか!しつこいので、200円渡すと

「足りない!もっとくれ!」

と、ごねだし、最終的には中指を立てられたこともある。

だから僕は、海外で話しかけてくる人には警戒心を持っている。

しかし、友だち4人で来ているからには危険なこともないだろう。友だちのYはトルコ人のおじさんに「アヤソフィア」への道のりを聞いた。

僕は内心、この後「アヤソフィア」まで案内してチップでも請求してくるのだろうと勘ぐっていた。

するとおじさんは、

「アヤソフィアはすぐそこ。だけど今日はお休みだよ」

と教えてくれた。

実際にアヤ・ソフィアは歩いて1分もかからない距離にあり、お休みだった。チップも要求してこない。

さらに友だちのYが、トルコアイスのおいしいお店について聞く。

おっさんはこっちと言い、僕たちをトルコアイスのお店まで案内してくれた。今度こそは、チップを要求してくるはず。しかし、何も要求してこない。

案内してくれたお店は、値段もリーズナブル、トルコアイスを盛るパフォーマンスもチャーミングなアイス屋さんだった。

この人は本当にいい人なのかもしれない。

アイスを食べながら、どうしておじさんはこんなとこにいるのか、聞いた。

おじさんの名前はOと言い、今は会社をサボりブラブラしているらしい。

トルコ人は呑気な性格をしているものだ。

イスタンブールのオススメスポットについても聞いた。

まず、おいしいケバブ屋さんについて聞くと、
トルコアイス屋さんから10分ほど離れた、現地の人がよく通うお店に連れて行ってくれた。

道中、Oさんは上機嫌でどこから来たの?日本人は謙虚でいいよね!などと笑顔で話し、とても楽しそうだ。

ケバブ屋さんを教えてもらい、次にトルコ珈琲のオススメのお店について

と聞く。

そして、連れて行ってくれたトルコ珈琲屋さんはテラスがあり、夏には夜遅くまで席が埋まる超人気店。店内は光沢のあるソファーやコーヒーメーカーがカウンターに並び、高級感がある。

店内に入り、僕たちと、Oさんでテーブルにつき、トルコ珈琲を注文する。

10分もせず、トルコ珈琲が運ばれてきた。日本のコーヒーよりも味が濃く、カップの底には粉がたくさん詰まっている。

僕たちはOさんに、厚い信頼を持ち始めていた。ケバブ屋さんやトルコ珈琲のおいしいお店を教えてくれ、お店の前まで案内してくれた。さらに金銭的な要求もしてこない。

しかし、彼がなぜ、ここまで僕たちに親切にしてくれたのか、どうして日本語が話せるのか、疑問に浮かぶ。

②につづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?