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スパイダーマン ファー・フロム・ホームの感想(ネタバレあり)

イオンシネマ京都桂川とMOVIX京都にて2回鑑賞。

何度でも声を大にして言うけどTOHOシネマズのピザポテト味のポップコーンは臭すぎるので本当なんとかして。
個人的に今年に入ってTOHOシネマズの評価が下がり続けている。ヒロナーな僕でもさすがにもう当分行かない。

エンドゲーム後にぽっかり心に穴が空いた人達の気持ちにつけ込んで成り上がろうとしているミステリオというヴィランが、ある意味エンドゲームを観て放心状態の現実の僕達を批評する様な存在。
ヒーローを信じる事の希望を語ってきたMCUが実はこういう事で金儲けしてるんですよねぇ、と語ってきてる様で観てる間中クラクラした。

そこから擦れ擦れで、それでもヒーローがいる事の希望を示す様な実はめちゃくちゃ凄い事をやってる映画だと思う。

というか、エンドゲームであんな感動的なフィナーレを提示しといてこんな梯子を外す様な作品を速攻で公開してくるMCUは本当正気とは思えない。
他に敵が居なくて余裕があるとかのレベルじゃない攻め具合だと思う。

(安定の)キャラクターの魅力

トム・ホランドのスパイダーマンは最早特に言う事なしで魅力的。
前作はアベンジャーズに入る様なスーパーヒーローになりたいと頑張ってたけど、今回は親愛なる隣人スタンスを崩さないで程々に頑張っている。プライベートではMJ好き過ぎて1人空回りしてるのが可愛い。

それと今回は前作より明らかにスパイディのアクションシーンが良くなっている気がした。
特にラストロンドンでのバトルが素晴らしい。
その場にあるものを利用して武器にするアイアンマン精神とそれをキャップやソーを踏襲した使い方で、彼らの意志を継いでる事をアクションで語るのとか上手い。
あとお昼なので明るくて見やすいのも良い。
ジョン・ワッツ監督明らかに腕上がってると思う。

ネッド君、椅子の男的な活躍はないけど観ていて終始楽しい。
特に彼女が出来た後、MJとくっつきたくてがっつくピーターに、落ち着いて諭す様にアドバイスする時の表情が腹立だしくて最高。
サラッとつぶやく「少年の夢だった」とか語彙のチョイスが変わってて大人になってしまった感。やっぱり趣味が合うとかじゃなく、一緒にテレビ見てる時に思わずつぶやいた感想がシンクロしてしまうああいう相性が恋愛は重要なんですかねぇ。
彼女と別れたけど(常にピーターを置いて次のステップに進んでるのが笑える)、この後もいい友達関係を続けてお互いの結婚式とかにも出席し合って欲しい。

MJちゃん、前作はヒロイン枠じゃなかったので出番少なかったけど今回は大活躍。ピーターを好きだという自分の気持ちにもう気づいているので、彼の前だと照れを必死に隠してる姿が可愛らしい。

ラストの下手くそなキスシーンは今年ベスト口づけ大賞。なぜかわからないけどめちゃくちゃ泣いてしまった。

今回の悪役ミステリオ、MCUヴィラン的には最弱と言って良い。
そもそも戦闘員じゃなくクリエイターで、「みんなに見せたいものを見せ、俺も幸せになる」という指針の人、ジェイク・ギレンホール繋がりで言うとナイトクローラーのアイツにかなり近い。

それとスパイダーマンシリーズのゆかりとしては、サム・ライミ版スパイダーマン2のタイミングでトビー・マグワイアが怪我をして代役としてジェイク・ギレンホールが準備してたという話があったりして「2代目のスパイダーマンになってたかもしれない男」なわけで、それを踏まえて観るとスパイダーマンの権限を乗っ取る展開とかかなり味わい深い。

あとニック・フューリーの姿をしたスクラル人のタロス氏。エンドロール後のネタバラシ展開は、まあ予想出来なくてビックリ。

最初から観てると仕事に関しては終始グダグダでお前にピーターを説教する権利ないだろ!と思ってたけど実は予測してない事の連続で、中の人はかなりいっぱいいっぱいだったという見事なオチ。

というかフューリーいつから居なかったんだろか。トニー・スタークの葬式の時点でもう変わってた可能性全然あるよね、、、。

ラストの宇宙基地はキャプテンマーベル2とかに繋がっていく要素なのかもしれない。今後も目が離せない。

登場しないけど存在感をビンビン感じるトニー・スターク。ピーターに対して過保護過ぎて「エイジ・オブ・ウルトロン」以来の大惨事を引き起こす事になる、というかその発明ウィンターソルジャーでキャップにぶっ壊されたヘリキャリアとおんなじじゃん!そんなもん高校生に渡すなよ!(まあメガネ渡すタイミングはトニーが望んだタイミングと違ったかも知れないけど。)本当死んでもトニー・スタークって感じ。

天国からピーターの一挙手一投足を見ながら「あー!もー!なんで、そうなるの!お前!ていうか危ないからやめて!」とヒヤヒヤしてる姿が浮かぶ。

中島かずきさんも映画秘宝で指摘してたけど、MCUではエンドゲーム後にトニー・スタークがベン叔父さんの位置になっているのが本当上手いよね。

ラストにピーターの身元がバレて心配ではあるんだけど、他のスパイダーマンシリーズと違ってMCUは守ってくれる大人が沢山いるので、そこまで深刻な事にならない気もする。あ、もしかしたら過保護なトニーの事なので顔バレした時の対応策とかも、すでに色々考えているかも知れない。

ひっくり返し続ける物語論

中盤のミステリオに1度目の敗北展開。ここでミステリオが見せる幻がことごとくエンドゲームでピーターが負ったトラウマなのが本当いやらしい。さすがはナイトクローラー。

そこから彼を救うのがMCU成功で一番功績が大きい監督であるジョン・ファブローなのが熱い。

「トニー自身ですら(皆が理想とする)アイアンマンになりきれていなかった」という一言でハッとなった。サノスから世界を救ったという大きい功績だけで1人の人間を完璧な存在として象徴し神格化していたけど、この11年間僕たちは一緒にトニー・スタークが何度も泥臭く人間的に藻掻きそれでも立ち上がる姿を観てきたじゃないか、そういう生身の痛みを知っている人間からこそヒーローの物語は生まれるんじゃないのか?と作り手であるジョン・ファブロー自身がセリフで伝えてくるみたいで何重もの構造に感動させられる。

その意志を彼が次の世代へ受け継がせる橋渡しになってフェイズ3を締めくくる。完璧だと思う。

トニーと同じ様にスーツを作るピーターに「音楽は任せろ」とトニー・スタークのテーマ曲と言っていいAC/DCの曲を流してピーターが「ツェッペリン大好き」って返す所で笑い泣かされる。

ここまで散々信じたいモノだけを信じるという物語の持つ負の要素を見せてきたのに、それでもやっぱり物語を語り続ける事の素晴らしさを提示してくるMCU、、、やっぱりハンパない。

エンドゲーム観てしまうと、今後これを超える様な凄い作品は観れないんじゃないかと心配になってたけど、全く攻めの姿勢を解かなくて安心した。本当凄いシリーズだよ、、、。
一生ついていきます、これからもよろしく。

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