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ワンダーウーマン1984の感想(ネタバレあり)

イオンシネマ京都桂川で鑑賞。
結構混んでた。アメコミ映画が今年は軒並み延期していった印象だけど、DCはハーレイクインと今作の二本も劇場公開してくれてとても有難い。今年はディズニー傘下の作品が色々とガッカリな事になっていただけに見直した。

個人的には前作のワンダーウーマンはあまり楽しめなかったのだけど、今作はとても素晴らしかったと思う。
しかしまあTwitterとかでめちゃくちゃ賛否分かれるのも納得な変な映画でもある。
僕も観ていて気になる所も多かったけどそれを忘れる位素晴らしいシーンが沢山あって結果的にかなりプラス評価になってしまった感じ。

ラブストーリー要素

クリス・パインがとても良くて、現代の文化にいちいち口あんぐりで驚く顔がとても可愛らしい。
前作でダイアナと完全に立場が逆転しているのもとても味わい深い。

一時でもダイアナとデートするのが心の底から楽しそうで、前作の短い期間しか一緒に過ごせなかった時間を振り返ると切ない。
途中の飛行機の操縦席に座って嬉しそうにエンジンをかけていく様子が愛らしいし、それを見つめるダイアナの視線の優しさに泣いた。
ここで何気なく大技の透明ジェットを繰り出したのは唐突過ぎて笑ったのだけど、その後の花火の中を突っきっていく絵面の美しさと二人の表情で問答無用に感動させられてしまったので個人的にはオールOK。

そんな彼と当然別れなければならない展開になるのだけど、その後の自分の心の弱さを振り払う様に全力で走り出すシーンが素晴らしかった。
意味無さそうだったオープニングのアマゾン版SASUKEのシーンと繋がっていて、真実と向き合い通過儀礼を乗り越えて大人になった事を示す、なんだか分からないけど涙が出てきた。ガル・ガドットの走る姿勢が本当神々しい。

敵の設定

前作で不満だった敵の設定も今回はとても良いと思った。
前回は前半までの「戦争を操っている黒幕の悪い神様がいる!」と彼女だけが探し回っていて、当然そんなものはいなくて彼女が思っているより人間はずっと弱くて醜悪な生き物だから争うことをやめられない、という事を突き付けられそれでもヒーローが出来る事は何なのか?という流れにいくと思っていただけに「実際に黒幕の神は実在する!そしてより強い力でぶっ殺して解決!!!」の展開はかなりズッコケた。

今回はその敵の設定の浅さをブラッシュアップ出来ていると思った。
というか前回闘うべきだった「人間の弱さ」こそが今回の敵に設定されている。
一応ペドロ・パスカルが悪役なのだけど、最初から最後まで小物感を漂わせながら凄く人間臭く演じきれていて素晴らしい。
肉体も精神面も全く強くないし、人の命を直接奪う覚悟もないのではないんじゃないかと思える。
でもそんな男だからこそ欲望のまま世界を引っ掻き回していく展開に不思議な高揚感があったし、彼を筆頭にした人間的な弱さこそがダイアナが闘うべき敵だった。

ダイアナ自身も自分の弱点であるスティーブとの関係を乗り越えたからこそ、決して上から目線にならないラストの演説シーンはとても素晴らしいし、スクリーンを越えコロナで気分が落ち込んだ世界中の人に贈るエールにも聞こえて僕はとても感動した。

登場人物

ダイアナ

前作では現世の事は何も分からない少女の様な佇まいだったけど、今回は知性もスーパー能力も完璧になった感じ。

冒頭の80年代風アクションシーンが楽しい。
ストレンジャーシングスみたいに80年代舞台で現代的なアプローチで撮るのじゃなく、そのまんま80年代風アクション映画として撮っているのが観ていて楽しい。何回もゆったりいろんな場所でアクションしている感じがすごく懐かしかった。
ただ金ぴかアーマーのアクションシーンはちょっと微妙。予告でこれを着て鳥の様に空中を華麗に移動していた所が印象的だっただけに、本編観たら「なんもなくても普通に空飛べるようになってるやん!」と思わず心の中でつっこみを入れてしまった。

しかしこの人あんな良い就職先で働いた後、別の所とはいえ2010年代も同じ様な博物館みたいな所で働いてたけど流石にその界隈の人に「全然歳取らないじゃん!あの人!」って気づかれそう。

ただでさえ美人過ぎて目立つし職種くらいは変えた方が良いのではないかな、、、。

スティーブ

今回は前回の様に任務のプレッシャーなしだし、一度死んでいるのは大前提でダイアナとの時間や未来のアメリカ観光を楽しんでいる感じ。魔人ブウ編で1日復活した悟空の様な気楽さ。

しかしそれでいて、もう自分が生きるべき世界じゃ無いのもちゃんと理解しているのが泣かせる。

前作はダイアナをエスコートする役割だったけど今回は80年代の未来への期待が溢れた世界をエスコートされながら、いちいち嬉しそうに驚く顔が可愛い。

バーバラ

今回の影の主役と言ってよいキャラクター。
ダイアナの様になりたいと願った事で優しさを失ったというか、いつの間にかプライドだけの人間になっていく。最終的に「最強の捕食者になりたい!」とか言っているのは正直よく分からなかったけど冷静な判断が出来なくなっていく感じがなんとも痛々しい。

それだけにラスト彼女がどういう生き方を選ぶのか、ちゃんと描いて欲しかった、というか願いを手放したのかよく分からないまま終わったのははっきり不満点。まあもしかしたら続編とかで再登場する予定なのかもしれないけど。

というか彼女だけ願いの代わりに失ったものが「優しさ」って微妙過ぎない?
他の人と比べて本人が自覚出来ないモノだし願いを放棄するという考えに至らないでしょうよ。そりゃ。
その代わりに得たのが「スーパーヒーロー並の身体能力」「美しさ」あと多分ダイアナになりたいって事なら「長寿」とかもありそうだし、優しさ失う位ならそっちの方が全然良いじゃん!と正直思った。

気になった所

ダイアナが偵察の為にパーティに行くのだけど、スティーブに出会えて嬉し過ぎて、当初の目的を全く忘れそのままデートに行く流れとか凄い間抜けに感じた。
そして案の定その隙に敵に石が渡ってしまうし、、、。
そして散々スティーブとイチャこいた後「そろそろ石について調べに行こうかなー」とかいちいち腰が重いのが逆に新鮮で笑った。

その他カイロに行って大した収穫もなくすぐ帰ってくるのとかもなんだかなぁ。
こういう行ったり来たり繰り返してる割に話が進まない感じが鈍重でDCEUクオリティって感じがする。


後、スティーブを蘇らせる願いと引き換えにスーパー能力を失うって事だったと思うのだけどちょっと弱くなってるけどあんまし変わってないのは都合良すぎると思う。なくなるんなら全部なくなって人間レベルになるべきじゃないかなぁ、、、それだと見せ場なくなるのも分かるのだけど死んだ人間蘇らせといて代償が軽すぎでしょ。

これまで観てきて思ったのは、DCEUの映画は毎回駄目な所もあるのだけど、好きな要素をどれだけ好きになるかで評価が分かれる気がする。
そういう意味で今回はダイアナとスティーブのラブストーリーなど好きな要素が沢山あったので結果的には大満足だった。

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