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マリッジ・ストーリーの感想(ネタバレあり)

イオンシネマ京都桂川で鑑賞。Netflix系映画をスクリーンで京都でやってくれるの毎度ありがたい。
この感じで賞に絡みそうな名画的なヤツだけじゃなく6アンダーグラウンドとか馬鹿映画もスクリーンでやって欲しいなぁ、、、(勝手な要望)

倦怠期夫婦離婚モノというジャンルがあるかは知らないけど、嫌な気分になるのは知りつつ苦味をこそ味わうためについつい観てしまう。
しかもアダム・ドライバーとスカーレット・ヨハンソンが夫婦役で出ると聞けば面白くない訳無いと、かなり期待値高めで行ったけど予想を超えて号泣してしまった。

とにかく脚本も演出も音楽も全てが素晴らしくて、1シーン1シーンが愛おしい作品。
僕は恥ずかしながらノア・バームバック監督作品は初めてだったけどスルーしていてすみませんでしたと謝りたい。

主演の2人はまあ言うまでもなく素晴らしい。
スカーレット・ヨハンソンはアベンジャーズエンドゲームでもそうだったけど堪えながら涙を流す顔が本当上手い。
今回だと劇団での最後の演技の後、家に帰ってからチャーリーからのダメ出しを言われた後、1人部屋に戻りだした時にだんだんと表情が崩れていく所とか純粋に俳優って凄え、、、と思った。

彼女からすると夫と結婚した事で閉じてしまった可能性が沢山あって、やっときた彼女のチャンスを祝福しなかった事をきっかけにずっと溜めていた「このままの生活では私の未来が萎んでいく」という気持ちが明確になってしまった。駄目押しで彼が不倫してたのは笑っちゃったけど。

でも彼といた事によって女優だけじゃなく監督として未来も繋がっていったラストでじんわり感動する。スカヨハは次のジョシュ・ラビットも強い母親役っぽいし、そちらも楽しみだなぁ。

アダム・ドライバーの無表情なのに色んな心の動きを微細に表現する演技が最高

終盤のお互いの全てをさらけ出し口論するシーンの豹変ぶりも凄い。
彼はこれまで大人として温厚に人と接してきたのだけど、その根底には粗暴な両親の様には決してならないという意志があったのだと思う。
だから彼の自分の制御出来る範囲を超えて怒り、彼女に「死んで欲しい」と口に出してしまい思わず崩れ落ちてしまうシーンがあまりに哀しくて涙が止まらなかった。

ラストそれまで何度も出てた子供に勉強を教えるシーンが彼女の手紙を読む所で繰り返される所で、まあ泣く。ここの一瞬崩れる瞬間のアダム・ドライバーの顔がやばい。

最初の方ではお互い穏便に別れられる様に話が進んでいき「こういう離婚の形もあるんだなぁ」とぼんやり観ていると、周りの人間に相談し具体的に手続きを進めていく内に本人逹の想像を超えて、よく話に聞く泥沼の離婚劇に変わっていくのがスリリングだし胸が痛い。

当人達にもコントロール出来ない離婚に巻き込まれて振り回される子供も大変だけど、1番前を向いて生きているのは彼な気もする。是枝監督の「奇跡」の弟君とかを連想した。楽しいんじゃなく楽しく生きれる様に努力している。

あと完全に余談だけど香川で暮らしていた時にいきつけにしていたバーのアルバイトのお姉さんがシングルマザーの方で仲良くさせてもらっていてよく飲む事があったのだけど、何かの話の流れで離婚した時の話になって色々と聞きながら最後に「まあ、離婚しようと思って結婚した訳じゃないんだけどね、、、」とつぶやいていたのが印象的で映画を観ながら思い出したなぁ、、、。
当時は内心「そんなの当たり前じゃん」と思ってたけど、言葉でしか分からなかった事がこの映画で腑に落ちた感じがして、久しぶりに飲みに行きたくなった。お姉さん元気かなぁ。

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