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「シー・ハルク:ザ・アトーニー」の感想(ネタバレあり)

この感想では「シーハルク」だけじゃなく、同じMCUドラマ「ホークアイ」のネタバレをしております。
ご注意下さい。

法廷ドラマ

MCU最新作。第一話からコミカルさが前面に出ている感じでサラッと見れるドラマだった。
それでいて主人公のジェンが女性弁護士としての苦労や、ハルクになったからこそ良くなった事と悪くなる事態を結構リアルに描いていて、ぶっ飛んだ話も多いMCU作品の中でかなり地に足が着いたコメディ作品になっていた。

MCU世界ならではの問題とそれに板挟みになる法的な悩みを合わせた珍事件の数々もとても考え抜かれていていちいち細かくて面白い。
あと、この配信が木曜でちょうど同時期の金曜にやっていた日本の法廷ドラマ「石子と羽男」が、全然世界観が違うのに重なる所も合ったりして見比べるのが楽しかった。

これまでのMCUドラマは大体一つなぎに話が続いていく感じだったけど、今回は毎話メインの話も登場人物も違うので、より1話毎の楽しさが増している印象がした。

第四話のマジシャンがウォンに訴えられる話とか、単体の話として軽く楽しめて好きだった。ウサギの可愛さ。

最終話のビックリ展開

しかし何と言ってもビックリなのは最終話。
ジェンが作品から飛び出し自らお話しの結末を変えるという展開が凄くて、ケヴィン・ファイギロボ(ここまでやるなら本人出れば良かったのでは?)に直談判する所はまあ笑ってしまった。

ただ正直、これをやるとこれまで積み重ねてきた彼女のドラマ、というか今までのMCUシリーズの全てが、はっきり絵空事だと言われてる気がするし、キャラクターが自分の結末を変えられるなら、全部どうでも良くなってしまう。
弁護士だから出来るスキルの使い所も「ケヴィン」を説得するという展開じゃなく、やっぱり物語内の法廷で盛り上げる作りにしないと、法廷ドラマとしてかなり物足りない。ラストにあのハルクキングの黒幕を法廷で追い詰めるシーンがいると思う。

この第四の壁を越えるという要素をやるなら、ライアン・レイノルズがやっていた「デッドプール」位のバランスで、ちゃんと登場人物のドラマに寄り添って作らないとうまくいかないと改めて実感。

後、ジョークだから良いのかもしれないけど、MCUはどの作品も「支配と自由意志の闘い」を描いたシリーズだと思うので、今回ケヴィン・ファイギを出した事で、「お金儲けの為に一番支配的なのって、こいつじゃない?」と、改めて気がついてしまった感じで、今後MCUを観る上ではっきりノイズになった。なので個人的にはこの展開は、はっきりやめた方が良い気がする。

それとシーハルクの姿の彼女に「その姿は(CGなので)お金かかるしやめてもらっていい?」って言うギャグに関しては、MCUと仕事をしたVFXの会社が悲鳴をあげてる現状を考えると正直全然笑えなかった、というかはっきり酷い。

ジェン

ブルース版ハルクの様に能力があるが故に緑の化け物として恐れられるシーンはほとんど無くて、むしろ彼女の素晴らしい個性として人気者になっていくというのが、今のMCU世界の当然の価値観になっているのが面白い。

「怒りを抑える術を知ってる」という場面で女性として生きる中で我慢してた事を話す内にハルク化していくのが彼女のシーハルクの生き方を示しているみたいでグッとくる。
「怒らないといけない事は怒れば良い」と言ってくれてるみたいで、MCUにこれまで無かったヒーローじゃない普通に働く女性を応援するドラマになっている気がした。
仕事を失ったり、恋愛が上手くいかなかったり、SNS上でいじめられたり、これまでのMCUヒロインに比べると不幸の質がかなり地に足がついてる感じで、それ故に感情移入しやすく地味だからこそ、観ていてより辛い。
それでも明るくコミカルに道を切り開いていく彼女の物語が終盤まで好きだっただけに、最終話でうやむやになってしまったのが、とても残念。

ブルース

トニーが残してくれた秘密基地みたいな場所でたった1人で過ごしていたのが分かって切ない。
トニーと飲み明かした思い出話を寂しげに話す所で実はアベンジャーズのメンバー以外の友人が居なさそうな雰囲気。
ジェンを巻き込んで申し訳ない気持ちはありつつも、同じ能力を持った仲間が正直かなり嬉しそうでもある。

ラストにめちゃくちゃデカい隠し子が登場するのは、悪い意味で脈絡無さすぎてビックリした。説明しろよ。

ウォン

最近は色んな作品に引っ張りだこの名脇役。

シャン・チーの時の八百長試合の件の謎が解けるのかと思ったら全く回収になってなくて笑う。
手合わせの相手にちょうど良かったみたいな事言ってるけど、どう考えても他にも適役居るだろ、刑務所から脱走させてまでやる事なのか、、、。
というかあの賭け試合めちゃくちゃ金の匂いがしてとても胡散臭いよ、ウォン。

でも海外ドラマのネタバレ喰らう所は可哀想だった。

エミル

インクレディブルハルクの時に逮捕されて、最早別人としか思えないキャラ変をしているおじさん。 

最後裏切る形にはなってたけど、中盤はジェンの為に本気で心のケアをしていたりするし、おそらく仕事で立場をコロコロ変えてるだけで、本人的には誰にも敵意がない感じだと思う。
飄々としていて演じてるティム・ロスも楽しそうだし、インクレディブルハルクの時の狂った印象から人間味が増しているのは良かった。

なんでウォンとあんな仲良しなのかは結局良くわからなかったけど。

デアデビル

スパイダーマンNWHではちょっとだけだったけど、今回はかなりガッツリ出演。
パワースタイルのシーハルクと渡り合うバトルシーンも楽しかったし、ネトフリ版を踏襲した複数のチンピラ一人一人叩きのめす所も見応えがあって良かった。

その後あっさりジェンとセックスする展開は驚いた。去年のMCUドラマ「ホークアイ」に出ていたキングピンにも感じたけど、Netflix版から合流したキャラはキャストは一緒だけでキャラクターの雰囲気は結構変わってる感じで、やっぱりNetflixのドラマは全部、別のユニバースという気がしてきた。

彼女がシーハルクになっていくストーリーや抱えている葛藤も見応えあったし、全体的にはコミカルで楽しいドラマだったと思う。
ただ個人的には最終話の展開で彼女のストーリーも、下手するとこれまで積み上げたMCUの歴史すら、全部どうでも良くなってしまうのが勿体ないと思った。

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