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ゴーストマスターの感想(ネタバレあり)

京都みなみ会館で鑑賞。
僕は大体土曜か日曜に行くので、何かしらのイベントをやっている事が多くて、とにかく忙しそう、今日もスタッフの人に「イップマン4って、みなみ会館でやりますか?」って聞けなかった。

確かに人がギャグ的に死ぬ描写とか笑ってしまうのだけど、登場人物の心情とかを色々考えると映画業界の搾取された側の人々の怨念を具現化した様な話で、本当に笑っていいんだろか?って気分にもなってきた。

そもそも現場にキラキラ映画を好きだと思っている人がいないのが辛い。
悪役的になりそうな1番搾取する側であるプロデューサーですら「僕だって本当はホウ・シャオシェンとかが好きなんだよ!」とキレる所とか爆笑シーンなのに気の毒でもある。

主人公。
こんだけ日本映画で「トビー・フーパー!トビー・フーパー!」と連呼する人観た事なくて新鮮。
パンフレットに載っている彼のツイート集を見てると(どんな特典だよ)どう考えても同世代の人で、トビー・フーパーを信仰してはいるけど、おそらくリアルタイムで映画館で観れなかった人。
だからこそリアルタイムな肌感覚はない80年代ホラー黄金時代映画を「俺もやりたいんだよ!」という熱い気持ちを考えると涙が出てきそうになる。

そしてそんな無垢な人達を命を搾取する様な構造が日本映画界にはあるんだろうなぁと、いう現実を考えるとやはり切ない。

最終的にその構造を作り出しているのは、ヘンテコ日本映画を当たり前に求めている僕ら観客のせいでもあると突きつけてくる様なラストに結構グッときてしまった。

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドが過去の映画人に対して愛を示す作品だったのに対して、今作は日本映画に搾取されて消えていった名もなき人達の怨念を具現化した様な映画に感じた。

とか言ってるけど、あんまり深く考えず悪ふざけギャグを浴び続けるだけでも楽しい映画。
脚本の穴とか言い出したら数え切れない程あるとは思うのだけど(というか途中からそういう事を考えるのを諦める)、たまらなくチャーミングな作品ではあるので、そこを楽しめばいいと思う。

壁ドンを突き詰めた結果残る血の手形、「キュンキュン♡ってなんですか!?」「キュンキュン♡してる!キュンキュン♡してるから!!」等のキュンキュン♡使い、悪魔の脚本が飛び時の効果音、顔に当てるとシュワーってなるあずきバー、張り付いた顔の状態で美しい永尾まりや、あとタランティーノはだめ!とか声出して笑ったシーンが沢山。

そんなこんなで、割とハードな話な気もするけど、あまりにチャーミング過ぎて僕はどうしても嫌いになれない作品。ヤング・ポール監督(覚えやすい名前!)今後の活躍も楽しみ。

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