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ピースメイカーの感想(ネタバレあり)

感想書くタイミング遅れたけど、2022年に観たドラマの中だと一番面白い作品だったので改めて感想を書いてみようと思う。

ジェームズ・ガン

「ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結」に登場したピースメイカーのスピンオフドラマシリーズ。

スーサイドスクワッドから引き続き脚本と何話か監督も担当しているジェームズ・ガンらしい駄目な人に対する優しい目線がとても感動的だった。

ディズニーが管理している「ガーディアンズオブギャラクシー」シリーズでは到底出来ないトロマ映画的な悪趣味残酷描写が「ザ・スーサイドスクワッド」から引き続き健在でまあ楽しい。

中盤の敵工場襲撃でのゴリラバトルとかも、チームとしてデコボコだった彼等の絆を深める重要エピソードだしその後の車での盛り上がりも凄く良いのだけど、起こっている事がバイオレンス過ぎてちょっと引いちゃう位のバランスでもあるのが面白い。

アメリカの都会過ぎず、かと言って田舎過ぎない地方都市っぽい所が舞台なので、「ザ・スーサイドスクワッド」の様な特殊な場所への潜入モノと違いかなり日常の延長線な雰囲気。
この辺は「スーパー!」の頭のおかしい人がアメコミヒーローに憧れてビジランテ行為を繰り返していく感じと近い、ヒーロー活動に対する冷めた目線でより原点回帰的に思えた。

ピースメイカー

「ザ・スーサイドスクワッド」で自分の信じた正義の為とはいえリッグ・フラッグを殺しブラッドスポートに敗れた事が割とトラウマになっている。
特にフラッグを殺した事に関しては泣いてしまう位傷ついていて強がってはいるけど、信じた正義はグラグラで、最初の任務でバタフライ化した子供を撃ち殺す事が出来ないシーンとかでも分かる。

でもそれが父親やアマンダ・ウォラーの様に目的の為に残酷になれない彼の人間的な優しさを愛おしく描いていて、この辺もとてもジェームズ・ガンらしい。

頭のおかしい父親のせいで兄を殺してしまったのに自分を攻め続けて、しかも未だに父親に認めて欲しいという願望を持っているのが観ていて辛い。
最終的に苦過ぎる想いを残したまま殺す事になってしまうのだけど、これからも父親の幻影が取り憑き続けるのが示唆されるラストシーンがなんとも言えない切ない味わい。
この辺の要素はシーズン2でより深く語られていくのだと思う。

そんな中で彼に世界の命運を委ねる「選択」のシーンが本当に素晴らしかった。
どちらを選んでも正解とも言えない、ただもしかしたらあっちを選んでいたら彼の切実に待ち望んでいた平和の使者になれるチャンスだったかも知れないラスト。大義とかではなくこれまでのエピソードの中から得た小さな友情を選ぶシーンがとても感動的だった。

彼の人間らしさを示すアイテムとして兄との繋がりでもあるロックンロール曲の使い方が絶妙。精神的な父親の支配から解放される彼にとっては自由の象徴でもある。
特にラストに流れるThe Last VegasのApologizeが優しすぎて泣いてしまった。

他のチームメンバーも「ザ・スーサイドスクワッド」では殆ど見せ場がなかったけど、今回はみんな良かったし、初登場のウォラーの娘のアデバヨも親の支配に苦しむピースメイカーと写し鏡的でだからこそ同じ痛みを分かち合える親友になっていくのが感動的。

同じく初登場のビジランテも「スーパー!」に出てきそうなサイコパスヒーローで、とてもジェームズ・ガンらしいチャーミング(?)なキャラクターでとても良かった。

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