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男性諸君、自分で子供産みたいって思ったことある?

20:00、相手の仕事が終わって居酒屋に向かう。

27歳、アパレルで独立したての男性。

思ってたよりも声が高くて、髭面とのギャップがある。

「俺、本当は女の子になりたくてさ、」

彼はLGBTQではないし、異性愛者である。

「本当は元カノの子供を俺が代わりに産みたかったし、元カノが望むなら主夫になって、パートを少し残業してしまって今日もお迎え遅れちゃう、ってやりたかったのよ」

去年の年末、5年付き合った彼女とようやく婚約した矢先、やっぱり私は家族に興味がない。と去っていってしまったらしい…。…

しかたないよね、キャリアを求める女性に家族は邪魔になる時だってあるし。おまけに家庭環境が良くない場合、余計に家族に興味がないはずだ。近くに良いお手本があるからこそ、お嫁さんになりたいという言葉が出るのだ。

「俺が全部至らなかったんだよね…」

悲痛だ…

5年という歳月はたしかに長いし

お金や時間をかけただけ執着してしまうのは当たり前なのだが、彼は側から見ても彼女以外は見えていないというか、瞳に映っていないと言うことが初対面でも分かった。なんにつけ彼女は、彼女は、と、少し異常にも感じるほど彼女に執着しているのが分かる。正直彼女の話以外には何もなくて、彼自身の像が全く見えず何のために会ったのかわからなかったが、家で食べ物も喉を通らず彼女が他の男に抱かれる想像をして吐き続けるのをやめてティンダーをスワイプし誰かに会いに行くことができる段階まで回復したとも言えるのか…。

物より人に沼るほうが底なし沼。物は逃げないが人は変わる、逃げる、2度と手に入らない…

よくよく聞くと、彼と彼女の需要と供給があっていないことがわかってきた。

彼は、家族に憧れていて子供もほしい。なおかつ、最後に愛が勝つと信じている。

彼女は現実的で、さまざまな発言から、一方的に支えてくれる存在すらもいらないというようなたくましい女性。愛なんて幻想。安心じゃなくて欲しいのは常にインスピレーションを刺激する存在。



「帰らないでよ〜〜〜、また泣きながら1人で寝るのは嫌だよ〜〜」

情けなく懇願する姿があった。

そんなんだからもうダメだと思われたんだよ、と思ったがメンタルがぐずぐすになった人に正論を振りかざすのは良くない。それに彼自身が痛いほどよくその事実を頭ではわかっているはず。

その場限りの温もりに逃げてはいけない、逆にもっと悲しみを深くするのだから、悲しくても吐いても少しずつ飲み込んでいかなくては と伝えて解散した

ふらふら歩く背中が遠ざかっていった

お互い頑張ろうね…

でもあなたはとても素敵な人に出会ったんだと思うよ、性別を超えたいと思える相手がこの先いるだろうか、   いて欲しいと願う

私はそこまで人を深く愛したことがないからとても羨ましくなった







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