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SAVE THE CAT の法則ー本当に売れる脚本術:ブレイク・スナイダー著

「SAVE THE CAT の法則ー本当に売れる脚本術」ブレイク・スナイダー著、菊池淳子訳、株式会社フィルムアート社発行、を読みました。Amazon.co.jpでのレビューと星の数ともに高く、読後感も「脚本・ストーリーについてのほんとうによい本」と評判どおりでした。

実践的なノウハウを体系的に書いている。豊富な映画ストーリーの実例をひいて具体的である。著者自身のストーリーも語られリアリティがある。ジャンルを問わずにストーリー・脚本に取り組むバイブルだと思います。

そしてストーリー、脚本の考え方だけでなく、この道を志して仕事をつかもうとチャレンジしていく人々への人生感のアドバイス、特に最終章は心に響きました。脚本とは離れて、新しいコンセプトの企画、ビジネスをはじめて模索していくなかで、次の言葉はうれしかったです。

連絡をとりたい人のリストに載っている50人に会って、玉砕していくうちに、残りが3人になってしまったとき。実は47人の<ノー>は通過しなければならない道なのだ。<ノー>を増やすたびに、<イエス>に近づいていく。そうだ、君はちゃんとやるべきことを着実にやっている! <イエス>に一歩一歩近づいているんだ。

「SAVE THE CAT の法則ー本当に売れる脚本術」ブレイク・スナイダー著 p234

この本は「映画の脚本」についてです。「ストーリー」は「脚本」から生まれる「映画」そのものとして、本書を読みました。

「映画」は、観客が共感したり応援したくなる主人公についてのストーリーである、とスナイダー先生は説いています。

映画はすべて主人公についてのストーリーである … 観客が … 共感したり、応援したくなる主人公、しかも映画のテーマを観客に伝える主人公 …

「SAVE THE CAT の法則ー本当に売れる脚本術」ブレイク・スナイダー著 p84

ストーリーは、観客が共感できる主人公と一緒に旅をする2時間ほどの体験、のことと理解しました。

… 映画という名の旅を一緒に続ける主人公に共感できるかどうか。これが観客をストーリーに引き込むための最も重要な要素だからだ。

「SAVE THE CAT の法則ー本当に売れる脚本術」ブレイク・スナイダー著 p17

よい映画であれば、観客は最後まで引き込まれて「劇場の明かりがついたときには、感情的に完全燃焼する」し、わるい映画であれば、途中で席を立ってしまう。

主人公が映画・ストーリーを通じて伝えるものがテーマ。

ストーリーを聞く前にまずこの質問をする。「一行で言うとどんな映画?」

「SAVE THE CAT の法則ー本当に売れる脚本術」ブレイク・スナイダー著 p25

テーマ(WHAT IS IT?)は、人間が文字を生み出す以前から語り継がれてきた人間についての普遍的なもの、原始的(PRIMAL)なものがよく、スナイダー先生は10の「ジャンル(GENRE)」に類型化しました。

そして、どのようなジャンルの映画、脚本、ストーリーであっても、最も重要なことが、この本のタイトルとなっている「SAVE THE CAT」。ストーリーの最初で、観客は主人公に出会って、すぐ好きにならなければならない、とスナイダー先生は教えています。

《SAVE THE CATの法則》とは、私が名づけたシーンだ。… このシーンでは、観客は初めて主人公に出会い、主人公が何らかの行動を起こす―危機一髪のところで、猫を救うとか。このシーンによって観客は主人公の性格がわかり、しかも共感し好きになる。

「SAVE THE CAT の法則ー本当に売れる脚本術」ブレイク・スナイダー著 p17

普遍的・原始的なテーマ(ジャンル)をしっかりと設定して、ストーリーの冒頭で主人公に共感するなにかを見せる(伝える)。この脚本の基本は、自分が取り組んでいくショートビジネスストーリーでも実践していこうと思います。

前職での採用面接を思い起こすと、候補者に語っていただくストーリーのテーマ(ジャンル)とは、「リーダーシッププリンシプル」に違いない、と思案しています。

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