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釣果だけを追い求めず、人生を豊かにするために遊ぼう ー 最北のガイド&シェフ、佐藤優介

ストリームコレクト(Stream Collect)代表の佐藤優介です。わたしは1986年に浜頓別に生まれ、2021年にこの地にフライフィッシングのガイドサービス、ストリームコレクトを開業しました。どのような体験をお客様に楽しんでいただきたいか、その想いを紹介させてください。
  

道北浜頓別ベースの釣りの魅力

北海道最北端の宗谷岬から、オホーツク沿岸を60kmほど南東に下ると、日本最大のハクチョウの飛来地、クッチャロ湖が広がります。浜頓別は、湖と頓別川の河口との間に立地する町です。ストリームコレクトは、頓別川沿いを10km内陸に入った高砂地区の古い農家をリノベーションして、お客様にお泊りいただけるフィッシング・ハウスを運営しています。

宗谷岬から南へは、猿払村の幌尻山(標高427m)から頓別川源流のペンケ山(標高716m)へと丘陵が連なります。頓別川の東側、オホーツク海との間には、ポロヌブリ山(標高841m)を中心とした山域が広がります。里には牧草地が拓かれていますが、丘陵から山域には広葉樹も含む自然林が多く維持されています。この地域の川は、豊かな森から河畔林の間をゆるやかに蛇行して流れ、フライフィッシャーにとっても、おだやかに釣りを楽しめる場所です。

浜頓別からは、イトウの聖地、猿払川へも、枝幸をはじめサーモンやアメマスをショアから狙うオホーツク海のポイントへも、約30分で向かえます。対象魚のシーズンの推移、川や海の自然状況、また、フライフィッシャーの目的・関心にあわせて、フィッシング・ハウスを拠点にして多様な魚種を狙えます。移動距離が短いため、実釣にじっくり時間をかけ、あるいは余裕をもった一日を過ごすことができます。
  

釣りとの出会いからフィッシングガイドへ

フライフィッシング・ガイドというと、なにか特別な人を想像するかもしれませんが、わたしの釣りとの出会いは、ふつうに小学生のときのウグイ釣りです。そして少年向け漫画からブラックバス釣りがブームになり、ルアーをはじめました。近所で釣れるのはウグイぐらいでしたが、楽しくて自転車で毎日のように通いました。ヤマベ釣りには、祖父に連れて行ってもらったこともあります。

札幌で調理師・バーテンダーとして働いていた時には、すっかり都会のライフスタイルに浸り、釣りは忘れていました。二十代半ばに地元、浜頓別に戻ってきたとき、フライフィッシングに出会います。縄文遺跡の発掘調査にアルバイトで参加したとき、学芸員の方がフライマンでした。手ほどきを受けながらフライで釣った最初の魚は虹鱒。小さかったけれども、すごく嬉しくて。自宅からクルマで少し行くだけの川に虹鱒がいることに感動しました。

二十代後半はフライフィッシングに没頭します。浜頓別で夜の飲食店を経営し、店を閉めた後、そのまま川に行って昼前まで釣り、帰宅して夕方の仕込み時間まで寝る。シーズン中はこうした暮らしを毎日のように繰り返していました。年間の釣行は百日を超えていたと思います。

はじめのころは、地元のフライの先輩が大きな魚を釣っていても、自分はなかなか釣れなかったのですが、地域の森や川も歩きつくして、あるときから大きな魚もトントンと釣れはじめます。そして、こういう時にはこういう場所にいるんだな、という法則性が少しずつ見えるようになってきました。
  

33歳ごろ、ふと思いました。今日はあそこに行ったら、きっと釣れる。あのフライを結んで、あのポイントをこう流したら、ここで魚が出るはず。では確かめに行ってみよう。そうすると釣れた。そうした体験が三日も連続したのです。

ゲストに楽しんでいただきたい、という想いは、飲食店の仕事を通じてもありました。フライフィッシングも、自分が釣るのではなく、ゲストの方に釣っていただけると、もっと楽しいのではないか。それはフィッシングガイドという仕事。自分でもワクワクしてきたのです。そしてストリームコレクトの起業を決心します。
  

ガイドで大切にしていること

道北の自然の中で、ゲストのお客様がフライをキャストしてきれいな魚に出会う、そのときの笑顔はガイド冥利につきます。

ストリームコレクトのガイドサービスにお問合せをいただいたお客様とは、まず事前の打ち合わせをします。お客様がどのような道北でのフライフィッシングにご関心があるか、フライフィッシングのご経験やお持ちのタックル、川へのアプローチやウェーディングで歩くことへの期待値などをうかがいます。

そのシーズンの川の状況も想定しながら、お客様がターゲットの魚に出会えるためのコースを、いくつもシミュレーションしておきます。ストリームコレクトでは、フライフィッシングの一日をトータルに楽しんでいただくことを大切にしています。ポイントでの釣りだけでなく、休憩やお昼の時間にも余裕をもって、入渓(クルマから川へのアプローチ)から脱渓(川からあがってクルマへ戻る)の距離や難易度を、お客様にあわせてプランしておきます。

はじめてのお客様とは、最初の入渓のなかでフライフィッシングやアプローチの様子を確認し、この地域での釣りを最大限に楽しんでいただけるようにプランを調整していきます。水位など川の状況は変化しますので、魚の動きと安全なウェーディングの両方を考えて、お客様に魚に出会っていただけるように、知恵をしぼります。こうしてリピーターとなっていただけたお客様には、ご夫婦やシニアの方もいらっしゃいます。
  

ストリームコレクトは、浜頓別のフィッシング・ハウスを拠点にして道北の川やショアをガイドします。天候や河川の状況によって、安全を最優先して、当初予定していたフィッシングプランを変更したり、キャンセルをお願いせざるを得ないこともあります。お客様に道北でのフライフィッシングを安全に楽しんでいただけるよう努めていますので、ご理解いただけると幸いです。

道北の豊かな自然のなかにはヒグマも暮らしています。不用意の遭遇を避けるように、地域での情報交換とガイド自身の観察を欠かさずに、安全第一を心がけています。お客様への最新の案内については、ストリームコレクトのホームページをご覧ください。
  

フィッシング・ハウスで過ごす

フライフィッシング・ガイドのお客様には、古い農家をリノベーションしたハウスにお泊りいただけます。牧草地からサイロ(飼料等を貯蔵していた円筒建物)まで、敷地をそのまま利用していて、見渡す範囲には他のなにもありません。都会の暮らしを離れて、道北の農牧地域の自然と緩やかな時間の流れに浸れるところです。

「ストリームコレクト」の名前は、魚の住む川の流れを集める、というコンセプトから付けました。「ストリーム」には、四季、季節の流れの意味もあります。お客様には、フィッシング・ハウスでのお食事、料理を通じても、この道北の自然の恵みを楽しんでいただきたいという想いがあります。

道北では、地元の飲食店のお客様は、その地域で暮らす人々が中心ですので、実は地産でいつも食べているものよりも、都会で流行の料理が好まれたりします。一方、お休みを取って本州から飛行機で道北を訪れるフライフィッシャーのお客様にとっては、その旅自体が特別な体験です。地元の食材を活かした、北海道ならではの美味しいものを期待されています。
  

地元の食材を活かすイタリアン

フィッシング・ハウスでは、わたくし自身がシェフです。札幌でのイタリアンの調理師としての経験。また、浜頓別での飲食店経営を通じて培ってきた、地元の季節の食材を卸していただける方々との関係。そうしたすべてを活かしてメニューを考え、料理をご用意いたします。

春の山菜、秋のキノコ、地場産の活けホタテ、魚介類、また、エゾジカなどのジビエ、自家製のパスタやピザなどなど。連泊しても毎日、その日ならではのメニューを用意します。フライフィッシング・ガイドをご利用のお客様だけが楽しめる、特別なダイニングバーです。

フィッシング・ハウスを開くにあたっては、対面キッチンにこだわりました。フライフィッシングのガイドの時もそうですが、一人から二人(最大でも三人)のお客様とマンツーマンでお話することがとても大切です。釣りの話、北海道の話、料理の話、お酒の話。その場で料理を作りながらお出ししていきますので、対面キッチンでは話題が絶えることがありません。
  

希少なウィスキーも並ぶカウンターバー

フライフィッシング発祥の地、イギリスはウィスキーの本場です。フライフィッシャーのお客様にはウィスキー好きの方も少なくありません。ストリームコレクト・ガイド&ハウスの料金のなかでご用意しているウィスキーもありますし、お客様のお持ち込みも歓迎しています。

北海道への釣行では、お気に入りのウィスキーを飲みたい、と特別の一本を持参されるお客様もいらっしゃいます。開封して滞在中に味わい、残ったものをストリームコレクトに託されます。こうして、希少なウィスキーの銘柄が、少しずつ棚に並ぶようになってきました。

ストリームコレクトのコンセプトの一つ、夢として、これまでは見知らぬゲストのお客様同士が、ストリームコレクトを通じて知り合えるように、という想いがあります。現在はゲストのお客様一組ずつお泊りいただいていますが、棚に託されたウィスキーを通じて、趣味趣向を共にするゲストのコミュニティが芽生えてきているように感じます。

飲物はウィスキー・オンリーではありません。新鮮な道北の魚介類の料理にあわせて、ワインや日本酒、ビールなど、お客様のお好きな飲みにものをお楽しみください。また、お酒が苦手な方にはノンアルコールもご用意していますので、ご安心ください。
  

ストリームコレクトへのお問合せ

道北のフライフィッシング・ガイドサービス&ハウス、ストリームコレクトの紹介をお読みいただきありがとうございました。

ソーシャルネットワークとホームページを通じて、新しい情報やゲストのお客様の体験を発信していますので、ご覧いただけると幸いです。

ストリームコレクト 
代表 佐藤優介

https://streamcollect.com/


初版公開:2023年8月2日
縦書きのウェブ書でも読めます。
https://r.binb.jp/epm/e1_307842_13072023082034/

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