オリジナルは、THE SECRET LANGUAGE OF LEADERSHIP: How Leaders Inspire Action Through Narrative, by Stephen Denning, 2017、です。白桃書房発行の邦訳を読みました。
組織や社会を変革していくリーダーは、どのように関係者(フォロワー)にコミュニケーションして未来を創りだしていくべきか、について元世界銀行理事が書いた指南書です。
「ストーリーテリング・・・」という邦題にひかれて読みましたが、「ストーリーとは何か(どのようにストーリーを書くか)」というよりも、「なぜストーリーが重要か」「聞き手の創造性・自発性を引き出すことの重要性」について啓発されました。
「ストーリーとは何か」については、末尾の付2のテンプレートで、次のように簡単に書かれています。
単に事実を並べた情報ではなく、そのつながり、因果関係を伝えていくことがストーリーの特徴です。
著者が示すストーリーの重要性は、それが人間の思考や意思決定の根幹であること。そして「ものの見方」を伝える効果的な方法であること。
読んでとても学びになったことは、ストーリーをつくり伝えるにあたっては、なによりも読者、聞き手を中心に考えて、準備しなければならない、という基本です。これはアマゾン社の「Working Backwards」(具体的なお客様とその課題を起点として企画する)という考え方、プロセスと同じだと感じました。
そして、リーダーがストーリーを通じてコミュニケーションを行う目的は聞き手の自発的な行動なので、ストーリーそのものの完全性よりも、聞き手が自らの物語として考えられる余白が重要だと説いています。たしかに、自分自身の読書や映画鑑賞の楽しみにも、そのストーリーの世界というよりも、自分自身の世界のなかで想いをめぐらせることがあります。
ストーリーライティング、ストーリーテリングの HOW TO 本ではありませんが、なぜどのような意識をもってビジネス分野でのストーリーに取り組むことが大切なのか、学びになりました。