住宅地の夜の音
風呂から上がると、うちの犬が開いた窓に向かって気持ちよさそうに座ってた。冷たい風がこっちへ吹いてきていたからだろう。
そいつを腕に抱え 家の外へ出た。また段々と夏を感じるようになって、涼しい風が一年ぶりに懐かしかった。
家は住宅地の一つだから、夜の八時はまだ騒がしかった。そう、外へでるといっても 聞こえるのは風や雲の音ばかりじゃない。食器が割れた音、何かを片付けている音、誰かの泣き声、笑い声。
家といっても、壁は意外にも薄っぺらくて、大したことないのだと思えた。そんなのを思っていたら同時に、私たちが完全に孤立することなんてできるのだろうかと思えてもきた。
いったい私たちは何に怯えているんだろう。この世界が私たった一人になることなんてないだろうにな。
この世は思っていたより賑やかで、そんなことをのんびり思っていたら、また寂しさに一人 冷えきってしまうのが私なんだろうな。
今日は体でも冷やして早く寝たいな。
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