久しぶりにJRの新幹線や特急列車に乗って飛行機のありがたみを実感した

飛行機ばかりに乗っていると飛行機の粗が目立つが、久しぶりにJRの新幹線や特急列車に乗ってみて、飛行機では当たり前のことがJRでは当たり前でないことを実感した。例えば以下のようなものである。

1.空港バスでアクセスできる

高速バスタイプで荷物を預けることができるバスは空港バスでは当たり前だが、大都市近郊からJRの主要駅にアクセスすることを目的とした高速バスはなかなかない。新幹線や特急列車に乗るためには混雑する通勤電車で大きな荷物を持って移動しなければならない。電車に乗っても座れるとは限らない。

2.駅よりも空港の方がバリアフリーである

空港は飛行機に乗る旅客を前提にしているのに対し、JRの駅は主に通勤客向けなので空港ほどバリアフリーが行き届いていない。移動するときに階段しかなくてスーツケースを手で持って上り下りする必要もある。大きな荷物を持って移動する際には床が平らで上下の移動もエスカレーターやエレベーターを使える方が圧倒的に便利である。

3.新幹線の主要駅ほどには混雑しない

新幹線停車駅であっても地方の駅ならさほど混雑しないが、東京、新大阪、名古屋、京都といったのぞみ号の停車駅はひらすら人が多い。大きな荷物を持って人をかき分けながら新幹線の乗り場に到達するまでに疲れてしまう。たしかに羽田もピーク時には人が多いし、保安検査場を通過するまでに時間がかかるものの、東京駅に比べればまだましである。

4.荷物を預けられる

時間に余裕があって荷物を預けられるなら、荷物を預ける方が身軽に過ごすことができる。飛行機に乗るときでも急ぎのときには荷物を預けないという選択肢があるが、逆にJRでは荷物を預けるという選択肢がない。大昔には荷物車が連結されていて荷物を預けることができたし、赤帽に荷物を運んでもらうこともできたが、いずれもとうの昔に絶滅してしまった。最近の新幹線には大型荷物置き場があったりするが、在来線特急だと大型荷物置き場がなく、荷物棚も小さい。

5.搭乗待合室がある

飛行機の搭乗ゲート前には概ね飛行機の旅客の数だけ椅子のある搭乗待合室があるので、よほど混雑する便でなければ最低限座ることはできる。電源とインターネットがあれば早めに到着しても時間を潰すことができる。新幹線の駅にも待合室はあるが、列車の乗客数に比して座席数が少ない。また、JRの待合室には電源席もない。

6.座席が狭く背もたれが高いので囲まれ感がある

国内線の普通席は鉄道の座席よりも一回り狭いが、その代わりに囲まれ感があって、窓際席かつ隣が空席ならば自分のスペースを確保しやすい。

航空会社はシートピッチを切り詰めたり離陸重量を軽くすることを求めているので、航空機向けの座席メーカーは薄くて軽い座席を開発している。そのため、シートピッチが狭くても意外と足元のスペースがあるし、座席そのものの座り心地も比較的良い。JRで同等レベルの座席はN700系以降の東海道新幹線くらいである。

7.JALとANAとスターフライヤーなら電源がある

JRで全席に電源があるのはN700SやE7系/W7系くらいだが、JALとANAとスターフライヤーならほぼ全席に電源があるので、バッテリー残量を気にせずにスマホを使うことができる。電源とインターネットさえあれば時間を潰すことが苦にならないので通路側席でも平気である。

8.ネットで予約してチケットレスで乗れる

航空券はだいぶ前からeチケットなのでネットで予約・決済すればアプリでバーコードをかざすだけで乗れる。JRで同等なのはJR東海のエクスプレス予約とJR東日本の新幹線eチケットくらい。JR東日本の在来線特急では特急券のみチケットレス化が進展しているが、それ以外の在来線特急に乗るときや、新幹線と在来線とを乗り継ぐときには駅の指定席券売機で発券しなければならない。

9.レンタカーへのアクセスが容易

新幹線の駅や在来線の特急停車駅にもレンタカー店舗があるが、店舗が駅から少し離れていることが多いし、駅周辺の市街地は混雑しているので、市街地を抜けるまでが大変である。それに対して空港は郊外にあるので、車に乗ってからの移動は楽である。西日本の空港では空港の駐車場から直接レンタカーに乗り入れできる空港が多いし、レンタカー店舗が空港から少し離れている場所では送迎バスがある。

駅周辺に目的地があるならJRでもよいが、それ以外の場合には現地の足が必要であり、どうせ現地でレンタカーを利用するなら空港から乗る方が楽である。現地の足があれば駅から離れた場所でも宿を取れるので宿の選択肢も増える。

といったことを鑑みると、東京大阪間のように新幹線の本数が圧倒的に多い区間であっても伊丹羽田線が北摂の住民から根強く支持されているのもわからないでもない。新幹線と飛行機のうちどちらを選択するかは、列車本数や所要時間だけの問題ではない。

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