北陸新幹線北回りルートで伊丹空港経由は可能か

北陸新幹線は南回りルートで決定しているし、京都に乗り入れない北陸新幹線になど価値がないのでたらればの話でしかないが、京都市内の地下水問題を解決できずに着工できなかった場合の保険として、もし北回りルートが復活することになったらどんなルートがありうるだろうかと考えてみた。

小浜から大阪までは、亀岡池田経由のルートが最短である。実際、亀岡の人が大阪に出る際には車で国道423号を走る。池田から新大阪駅までは市街化されているが、阪神高速池田線の下を通せば用地の取得が容易である。加島から北方貨物線の地下を通して新大阪駅の地下に乗り入れることになるのではないだろうか。どうして山陽新幹線の線路と直接つなげないのかというと、新大阪駅はJR東海の持ち物なのでJR西日本が自由にダイヤを設定できないためである。大阪に本拠を置く会社なのに大阪の新幹線のターミナルが自前で持っておらずJR東海の駅を間借りしている。しかも新大阪駅20番線発着の山陽新幹線の上り列車は下り線を2kmほど逆走するので列車を設定できるタイミングが限定される。北陸新幹線建設にかこつけて大阪に自前の新幹線のターミナルを持つことができれば、やっと山陽新幹線のダイヤも自由に設定できるようになる。というわけで、加島付近で山陽新幹線からの連絡線も設ける。阪神高速池田線は伊丹空港を経由するので、阪神高速池田線の下を通すルートであれば伊丹空港に駅を作らない手はない。

しかし、せっかくJR西日本が自前のターミナルを持つなら、新大阪駅よりも梅田にターミナルがあった方が便利だろう。うめきた新駅付近にはまだ再開発用地がある。その場合、阪神高速池田線の下を通して、福島付近で向きを変えて、うめきた新駅の西に新幹線駅を作るのがよいだろう。ここならなにわ筋線への乗り換えにも便利である。JR大阪駅の真下に新幹線駅を作ればもっと便利かもしれないが、既存の地下構築物を避けようとするとかなりの深さになってしまい、結局乗り換えの時間と労力が減少しない。それなら技術的に難しいことに挑戦するまでもない。

北陸新幹線が伊丹空港を経由しても、北陸の人にとっては特にメリットが無い。伊丹空港は羽田線がメインだが、東京に行くなら普通に長野経由の北陸新幹線に乗るなり小松空港や富山空港から羽田行の飛行機に乗れば済むことだからである。伊丹から西日本方面の国内線に乗るにしても、小松空港から直接飛行機に乗る方が便利である。北陸の人にとってメリットがあるのは関西空港に直通できる場合だが、それこそ紀淡海峡経由の四国新幹線でも実現しない限り関西空港への新幹線など絵空事でしかない。それでも、福井県内には空港が無いので、福井県内から伊丹空港まで直通できるとしたら、福井県にとってはメリットがあるだろう。

一方、大阪府にとっては絶大なメリットがある。新大阪発着ではさほどメリットがないが、梅田発着なら梅田から伊丹空港まで新幹線で約15kmなので10分くらいで着くし、阪神高速経由のリムジンバスよりも輸送力が圧倒的に大きいからである。どうせ大阪府が建設費用の一部を負担するなら、大阪府にとってメリットのあるルートでなければ大阪府が同意しない。

伊丹空港へのアクセスが便利になれば、伊丹羽田線が便利になって東海道新幹線と競合するが、どのみち東海道新幹線はJR西日本の持ち物ではないので、JR西日本が気にするまでもない。伊丹空港から九州方面への航空路線も便利になるが、山陽新幹線のターミナルが梅田にできれば、山陽新幹線の競争力も向上するし、新幹線と航空機とでは輸送力が全然違うので、少しくらい飛行機に取られるとしても、山陽新幹線のターミナルが梅田にできることによるメリットの方が上回る。

北回りルートの最大の問題は京都へのアクセスをどうするかである。亀岡駅でJR嵯峨野線に乗り換えれば京都駅に出ることができるが、嵯峨野線は京都駅付近に単線区間があるせいで増発余地がなく、現状でも輸送力が逼迫しているのにさらに北陸新幹線からの乗り換え客を受け入れる余地がない。そうなると、敦賀からのサンダーバードを残すのが現実的だろう。現状でも敦賀からのサンダーバードの乗客のかなりの割合が京都駅で下車するので、たとえ北陸新幹線が大阪まで全通するとしても、少なくとも京都駅まではサンダーバードの旅客が大幅に減少することはなく、9両から6両に減車する程度で済むのではないだろうか。

また、湖西線経由のサンダーバードが残るなら、湖西線を経営分離する必要もなくなるので、新幹線が通らないのに滋賀県が並行在来線を引き取らされることもなくなる。

京都大阪間がガラガラになるであろうことは容易に想像できるが、それならはるかと統合すれば北陸から敦賀乗り換えだけで関西空港に行くことができ、北陸の人にとって便利になる。はるかは京都新大阪間で貨物線を経由するので時間がかかるし、はるかとサンダーバードとを統合できれば京都駅30番ホームに空きができるので嵯峨野線の増発余力も生じる。

京都を経由しない北回りルートでは京都府や京都市が納得しないということであれば、京都の北のターミナルである北大路駅を経由して進路を西に転じるのではどうだろうか。これなら京都盆地をほぼ通らずに済むし、距離もさほど延びない。亀岡駅で嵯峨野線に乗り換えたり敦賀駅でサンダーバードに乗り換えたりするくらいなら、北大路駅で地下鉄に乗り換える方がましだろう。このルートでよければ、まずは北大路駅まで暫定開通させ、その後京都市内を通すか京都盆地の西に迂回して新大阪駅に向かうかを判断すればよい。

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