3-18

「マジで。顔見せて」

    ヒョンが僕の隣に座って、顔を覗き込んで来る。

「俺、ユギョミにいっぱい話したいことがあるんだ。聞きたいことも。ユギョミもだろ?」

    ヒョンの優しい低い声が、心地いい。

    僕は、ヒョンの目を見て頷いた。

「泣かないでよ」

「泣いてないよ、泣きそうになっただけ」

    ヒョンが笑う。

「ほとんど泣いてるけど。マジで、なんでそんな可愛いの。好きだよ」

    僕の顔を両手で挟んで、真っ直ぐに目を見る。

    ヒョンって、こんなふうにストレートに気持ち言うんだ。

「ユギョミ、俺ら、付き合う?」

    ヒョンが僕の体に腕を回して、ぎゅっと抱き締める。

「僕で、いいの?」

「ユギョミがいいの、ユギョミが欲しい」

    欲しい、なんて言葉。ヒョンが言うの?

    僕は、ただ頷く。

    信じられない気持ちで、ヒョンを見つめる。

「ヒョン、僕が好きなの?    信じられない」

「そう?    なんで、俺好きだって、何回も言ったよ」

    え?    そんな事、言われた事あった?

    嘘だ。

    僕は信じられない気持ちで、ヒョンを見返す。

    マクヒョンが好きなのはジニョンイヒョンなんじゃなかったの?

「ユギョミは?    俺で、大丈夫なの?    ごめん、こういうこと先に聞かないとだよな、もうチューしちゃった」

    ヒョンが本当に今気がついたように言うから、思わず笑ってしまう。

「好きだって、もう何回も言ってる」

「その好き、どういう好きか分かってる?」

「分かってる。それ、ヒョンの方じゃん。僕、何回も言ったけど、分かってくれなかった」

「ん、そか、え、あ、そか、そうなの?」

「マクヒョン?」

    ヒョンがひとり忙しく何か考えてるみたいで、不思議に思う。

「ユギョミ、俺、ユギョミのこと愛してる」

    急にそんなこと言うから、びっくりしてしまう。

    はっきりとそう告げられても、まだ信じられなくって、僕はただぼんやりとヒョンを見返す。

    ヒョンがまだ僕をギュッと抱きしめる。

    その力がめっちゃ強くて。

    その時に初めて、ああ、ヒョンは僕のことを好きなんだ、って実感した。

「どうしようヒョン、僕泣きそう」

「今さら」

    ヒョンは僕の髪を撫でながら、くすくす笑う。

「いくらでも泣いていいよ、俺の前でなら」

「ヒョン、さっき、怒ってた?」

「あ、うん」

    ヒョンの顔を見上げると、ヒョンは気まずそうに目をそらす。

「僕、なんかいけない事言った?    わかんない」

「うん、いいよ、気にしなくて」

「なんで?    気になる。ヒョンの事怒らせるのも、怒られるのも嫌だよ」

「んー、ユギョミには知らないままでいてほしー」

    急にマクヒョンが恥ずかしそうに笑って、その顔があんまりにも可愛くって。僕はその腰に腕を回して、ぐっと抱き寄せた。

    もっと、もっと近くに。

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