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【ワタクシゴト】私は彼女の伝書鳩

皆さんは、幼稚園から高校生までの形ある「思い出」を残していますか。

残している人は、どのような形でとってありますか。

例えば、幼稚園の時に描いた絵とか、小学生の時に家庭科の時間で作ったエプロンとか、中学生の時に表彰された作文とか。

私は、物心つく前から一緒に遊んでいたポポちゃんも、2分の1成人式で作ったアルバムも、修学旅行のしおりも、茶色いランドセルも全て、実家の「思い出ボックス」という衣装ケースの中に入れてあります。

今日、その「思い出ボックス」を整理していました。整理しているときにあるものを見つけました。それは、小説家はやみねかおる先生の書いた本から集めた自作の「言葉集め」です。

私は幼少期、絵本さえ読まないほど、本をほとんどみませんでした。そんな私が小学4年生になってやっと本を読むようになったのです。しかも寝る間も惜しんで無我夢中に。その本が、はやみね先生の作品でした。

書いたのは卒業間際の小学6年生の3月。私が小学校を卒業したのは、2011年3月、東日本大震災のあった直後。

小学6年生の私はこの「言葉集め」を、誰かが読んでくれることを想定して書いたようでした。だけど誰にも読まれずに「思い出ボックス」の中で長いこと眠っていました。

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だから今回、私は彼女の伝書鳩になることにしました。

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はじめに

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私は、はやみねかおるさんの書く本が大好きです。おもしろくて、わくわくして、感動して…そして何より印象に残る言葉がいっぱいあります。その言葉は、私の考え方を変えました。それはとても大切で、忘れられないモノとなりました。私は、何度も読み返し、心に刻んでいきました。

ここに、私が印象に残った言葉を紹介します。この文字たちが私の考えを変えたように、今読む人も何かがきっと変わるような気がします。一生忘れることのできない影響でも、何かの形でふと思い出されるようなものだとしてもみなさんを助けられればいいなと思います。

Ⅰ. 桜の絵の中で

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「毎日を幸せに生きるというのは、どんな夢を叶えるより、本当に難しい究極の夢かもしれない。」 名探偵夢水清志郎事件ノート”卒業"

私はこの言葉を読んで改めて、自分の生活の豊かさに気づきました。家族や友達、先生はみんな優しくて私に親切にせっしてくれます。逆に私もそんな優しい人だから親切にしたいと思います。宇宙の中の地球に生命ができて、人間ができただけでもキセキなのに、世界中の何億人の中からめぐり会えたことはキセキだけでは片付けられません。
何げなく生活しているけど、この言葉のように、毎日を幸せに過ごすことができるのは、究極の夢かもしれないと思いました。


「夢の国の話は、どうでもいい。それより、目の前にいる僕たちを見てくれないかな。__僕らは今、知識も技術も力も、手に入れる途中だ。もっと強く、もっと賢くなったら__心配しなくてもいい。夢の国は、僕らが創るから。」 名探偵夢水清志郎事件ノート"笛吹き男とサクセス塾の秘密"

夢の国って何なのだろう。「そこは幸せなのかな?」「何があるのかな?」
この本を読み進めていくにつれそう思いました。でも、もし「今の世界は夢の国か?」と聞かれるとそうではないと答える気がします。なんとなく現実を思い知らされることがあるからです。この文を読んで私は、夢の国は自分で創り出すことだと思いました。今の大人にはできない「子供に夢の国を与える」ということを、いつか私はしてやりたいと思いました。


Ⅱ.宇宙の絵の中で

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「悪いのは戦争です。戦争を起こそうとする人たちなんです。戦争があるから武器を手に入れようという考えでなくて、戦争があるから戦争のない世の中を創っていこうと考えないとダメなんです。見せかけの平和の世の中を、本当に平和な世の中にしていくためには、僕のような考えが大事になっていくと思う」 名探偵夢水清志郎事件ノート番外編"いつも心に好奇心 (ミステリー)"

私は、戦争を知りません。もちろん、社会で学習したり、テレビで見たりしたことはあります。でも、教科書やテレビでは伝えられない悲惨さがあるでしょう。私は聞くだけでもおそろしいのに、もし起きたらどうしたらいいか分かりません。だからこの言葉のような考え方を皆なが思ってくれたら良いなと思いました。


「本当にこの世界は救う価値があるのかい?__この世界は君からほほえみを奪った。ほほえみだけじゃない。いろんなものを奪った。家族からの愛情、誕生日の喜び、安心して眠れる夜、たくさんの可能性、戦わなくても得られる平和…いろんなモノを。今も、たくさんの子どもが奪われている。__もし神様がいるのなら、そろそろ巻きを引かないとって考えてるんじゃないかな。」 怪盗クイーンシリーズ"怪盗クイーンに月の砂漠を"

私はこの言葉に納得させられてしまいました。今の自分は幸せだけど、テレビのニュースごしに見る世界はボロボロです。犯罪、ぎゃくたい、信らいできない政治家、各国の不安定な治安、環境問題による自然破かい。これらは誰がやったのか何をかくそうと人間です。私たちは友達、家族、みんな大好きだけど人間はきらいです。世界が終わることについて納得したのは初めてでした。


Ⅲ.白い鳩の絵の中で

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「人にはひとりずつ、その人だけの歴史があります。死ぬってことは、その歴史が消えることなんですよ。__命がけのあなたたちは良いかもしれませんが残される人のことを何も考えていない。それに、国のため、時代のため__そんな理由で僕は誰も死んで欲しくない。」 名探偵夢水清志郎事件ノート外伝"徳利長屋の怪"

「人にはひとりずつの歴史がある」と「死」という言葉の意味を考えさせられました。歴史が消えることがそんなに大変なことなのかは分かりません。でも、死んでしまえば何もかもその人がなくなってしまうのは分かりました。何かのために死ぬということは、死んだ人の自己満足で周りの人の気持ちをふみにじってしまうかもしれません。私は、自分が死ぬことでひとりでも悲しむ人がいたら、自ら命を絶とうとは思わないと思います。人の歴史なんてたかがしれています。だからこそ、その短い歴史を一生懸命生きたいです。


「僕は未来だけでなく、今のことも考えます。もう誰も死んで欲しくない。いいですか、日本なんて国はないんですよ。日本に住んでいる人がいるだけなんです。その人たちを無視して国を論じても何にもなりませんよ。__地図に線を書いて国境をつくることはできるでしょう。でも、人の心には誰も線を引けないんです。誰も__。」 名探偵夢水清志郎事件ノート外伝"徳利長屋の怪"

この文は、私の中で一番印象に残っています。「日本なんて国はない」そんなことありえないと思いました。でも考えてみるとそうなのかもしれません。日本の土地はあります。日本の言葉もあります。日本の歴史も、日本の習慣もあります。でも日本はありません。地図の中にあるのは土地で、教科書にあるのは歴史で、しゃべっているのは言葉。どこに日本があるのでしょうか。私は、この言葉をもっといろいろな人に考えてもらいたいと思いました。

おわりに

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私が紹介した言葉の中に印象に残った言葉はありましたか。あったら嬉しいです(^^)私は紹介した言葉のように、こういう文を見ると「言葉ってすごいな〜」と思います。ちょっと間違えるとケンカになったり、人を傷つけてしまうけど、一言一言大切にすると喜んでくれます。言葉は人間にしか使えないから、私はほこりに思うし、言葉を上手に使って周りの人たちを傷つけないように生きたいです。皆さんも、言ったことを後かいしないように言葉を大切にしてみてください。✌️ピース

H23.3. .

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はやみね作品への愛、またの名をラブレター

本当に、はやみね先生の本が大好きです。「はやみね先生みたいに子供たちをワクワクさせる、そして考えるきっかけを与えられる文章を書く小説家になりたい!」と思った時期もありました。今も小説家にならなくとも、いつか1冊本を書いてみたいと思います。

「言葉集め」の中に書かれているように、はやみね先生の作品は私の考え方を変えました。

ぼくは「名探偵」です。みんなが幸せになるように事件を解決してみせますよ。

夢水清志郎

事件に関わる人々、事件を起こした「犯人の幸せ」さえも思って推理する名探偵に出会って。

「怪盗は、なにものにも束縛されません。わたしをしばるのは、怪盗の美学——それだけです。」

怪盗クイーン

地球上のあらゆる「正義」にさえ縛られない怪盗に出会って。

幸せとは何か、正義とは何か、考えさせてくれました。

実は今でも、はやみね作品を読み続けています。新刊を追いかけて読んでいます。ハタチを超えた大人が、今だに児童書の棚へ行って青い鳥文庫を手に取るのです。そして歳を重ねても、変わらずワクワクさせられます。

はやみね先生って、すごい。

私は彼女の伝書鳩

小6の私の文章を読んで、変わらないなと思うところがたくさんありました。

・「両親、友人、先生に恵まれている」というセリフ
・「言葉ってすごいな」って感激しているところ
・「言葉って大切」って実感しているところ
・そもそも言葉集めしているところ、今もしてる笑
・ポエムちっくな文章のスタイル
・なんか色々考えているところ

相変わらずな私が、文章越しに伝わりました。
ああ、こうやって時を経て彼女の想いを知れるって面白い。

言葉って、すごい。


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