越智 間九良

価値のないことやばかばかしいことを書いて「まったく、くだらねえなあ」と思われたい作家。…

越智 間九良

価値のないことやばかばかしいことを書いて「まったく、くだらねえなあ」と思われたい作家。エッセイ『くだらないエッセイ』、連作ミステリー落語『落語家探偵 事件ノオト』。

最近の記事

落語家探偵 事件ノオト 第一話 不可解な死

◆あらすじ◆  ノマド生活に嫌気が差した俺は、落語家、江戸川亭乱走(えどがわてい らんそう)師匠に弟子入りし、鉢五郎(はちごろう)という名前を貰う。見習いの俺に、師匠は二つのミッションを課した。 一、兄弟子である四太郎(よたろう)の世話をすること。 二、全国の酒蔵を巡り、おススメの酒を入手してくること。  何をやってもうまくいかない四太郎は、落語を覚えることを諦めて探偵になると言い出し、俺は助手にさせられてしまう。捜査を担当する熊倉刑事とともに、次々と起こる怪事件の真相に迫り

    • 退職願を文学的に書く

       最近は「退職代行サービス」というのがあるらしい。まあ、会社の上司や人事担当者との、退職にあたってのやりとりを煩わしいと思う気持ちは理解できるが、退職するのにお金を支払わなければならないとは世も末だ。  私は企業の人事部門で働いていたので、退職願を目にする機会がよくあった。ご存じの通り、退職願というのは「辞めます」という意思表示をする書類だ。その他にも退職届というのもある。退職届は、退職することが会社に受理され、退職日が確定した後、退職を会社に対して届け出るための書類なので

      • プロフィールの顔写真

         自身のブログやnoteのプロフィールに顔写真を掲載するとき、誰しも、どんなイメージにしようか、と頭を悩ませたであろう。私も同じだ。顔画像は写真でもイラストでも構わないと思うが、大事なのは、自分の書く文章と顔とのバランスではないかと思う。  新聞や雑誌の記事には、写真やイラスト、図表などが付いている場合がある。記事の内容を補足したり、直感的にイメージできたりするので、文章を書く側にとっても、読む側にとっても都合が良い。書かれている言語を読むことが出来ない外国人や、まだ文字

        • 本は読むためにあるという誤解

           何年か前にテレビのワイドショーで、「出版不況のために街から本屋が無くなる」というテーマで、教授やコメンテーターが討論していた。出版数が減少している理由としては、ネットで検索するようになったから、読書以外の娯楽が増えたから、などの意見があったが、おおむね、人々が読書しなくなったからという意見では一致していた。  このやりとりを見ていて、私はなんとなく違和感を覚えた。というのも、私の周りを見てみると、それほど熱心な読書家はいない気がする。もともと、そんなに読まれていたわけではな

        落語家探偵 事件ノオト 第一話 不可解な死

          ぶつけた足の小指を放置するといつまで痛いのか?

           机の脚やドアの角などに足の小指をぶつけるとかなり痛い。ぶつけた瞬間の激痛はいうまでもなく、その後にやってくる鈍痛も相当なものだ。 「くそっ、なんでそこにあるんじゃ、おまえは!」 と、机の脚に罵声を浴びせながら、思わず小指を手で押さえてうずくまり、身動きが止まってしまう。しばらくすると痛みは治まる。  昔から、怪我の処置のことを“手当て”というのは、患部に手を当てると痛みが緩和するということを私たちが経験的に知っているからだ。人間の身体は、手で触ったり、スキンシップしたりする

          ぶつけた足の小指を放置するといつまで痛いのか?